愛と狂気が静かに溶ける、詩的ホラー短編集。
- ★★★ Excellent!!!
静けさの中に狂気が潜む詩的ホラー短編集。
「愛」と「死」が溶け合い、読者は美しい悪夢の水面に沈められる。
淡々とした語りが、やがて狂気へと変貌していく過程は見事で、
川のせせらぎや花弁の揺らめきといった自然描写が
登場人物の心理と呼応するように胸を締めつける。
それは恐怖というよりも、痛みを伴うほどの美しさ。
読後、心に残るのは血でも悲鳴でもなく、
静寂と微笑のあわいに咲く、永遠の愛の残香。
詩的でありながら、確かに怖い。
そんな眠れる狂気を堪能できる一冊。