情報を募っているオカルトライター 終
1月16日午後2時頃。情報提供者に会うために、ファミレスを目指していた。公道に面しており、平日の昼頃にも関わらず駐車場の三分の二程が埋まっていた。
店に入る前に胸ポケットに手を入れて、印刷した名刺があるかを確認する。名刺はしっかり2枚以上入っていた。
それを確認すると再び店の入り口に向かって歩き出した。先方は先に店に着いていることを、DMで数分前に送ってきている。ここを目指す前に自分の服装を伝えておいたし、自分も先方の服装を知っているため、誰が誰だか分からなくなることはないだろう。
チリンチリリン
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせた後、店の扉を開けると鈴の音が鳴った。店内には主婦や作業服を着ている人などがまばらにいた。待ち椅子に座っている人はいない。
「いらっしゃいませーおひとり様ですか?」
若い男の人が出迎えて、席に案内してくれようとする。
「いえ、待ち合わせしてるんで…。」
「あ、左様ですか。ではごゆっくり。」
そう言うと男の人は裏へと下がっていった。店の中へと入っていき、目的の人達を探す。店内にはポップなミュージックがかかっているが、落ち着いた雰囲気のこのファミレスには合っていない。おそらく流行りの曲か何かなのだろう。
探していると目的の人達を見つけた。二人組でこちらに背を向けている。
(落ち着け、なりきるんだ。DMでやり取りした感じ悪い人たちじゃない、堂々と)
二人組に近づき、声をかける。
「あ、あの。DMしてくれた人ですか?」
正面から二人の顔を捉える。何故かどちらとも顔色が悪かった。
「あ、はい。そうです。」
こちらから見て左側にいる人にそう言われた後、席を勧められたので座ることにした。左側にいる人は右側の人に比べるとまだ顔色は悪くない。それに対して右側にいる人はかなり怯えており、歯をカチカチ鳴らしている。
「わたくしこういうものでございます。」
胸ポケットから名刺を取り出し、まずは左の人に両手で渡す。その後に右の人にも渡した。右の人は貰う時も手が震えており、心配になった。左の人が渡した名刺の名前を読み上げた。
「
「ええ、オカルトライターをしている斉藤忠氏と申します。今回は情報を提供して下さりありがとうございます。」
自己紹介をしてる間も右の人は体を震わせている。もらった名刺とこちらの顔を交互にずっと見ている。
「ちなみに被害に遭われたのは……?」
「あ、僕です。」
左側にいる人がそう言いながら手を挙げた。そうすると向こうも自己紹介をし始めた。左の人が
「僕が伊藤貴斗で、こっちが如月悠臣です。……ていうか悠ちゃん大丈夫?なんでそんなに震えてるの?」
左にいる人が伊藤貴斗さんで、右にいる人が如月悠臣さん。伊藤さんが如月さんを心配していると、如月さんがこちらに指を指して言った。
「…………ち、違う」
伊藤さんが
「違う?何が」
如月さんが
「斉藤忠氏じゃない……あ、あなた」
震える声で如月さんは言った
「森 井 ま さ と さ ん で す よ ね ?」
なんでばれた
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