第15話変わらない日々
朝起きると、伝書鳩が届いていた。伝書鳩に触れると意気揚々としていた鳩が急に動きを止め、一枚の紙となった。そこには生徒会に入る条件と、私の役割について書いてあった。
一つ、成績は学年上位十名であること。一つ、授業の選択権はなく、すべての授業を受講すること。
この二つは昨日の時点で聞かされていたからなんとも思わなかったが、残り一つの条件が少し引っ掛かったが、それは生まれてきてからずっと意識してきたことだったから、少し気になるが、そのまま流し見した。
次に私の役割について。生徒会の活動は二人一組で行うらしく、私のパートナーはワイル先輩だと書かれていた。暫くは単純な書類の整理をして欲しいらしい。書類は伝書鳩に渡してある、整理したらワイルまで送って欲しいと書かれていた。それと、一週間に一回は直接会って、情報を共有する時間を作りたいとも書いてあった。それを確認すると、文字は消えて、鳩は先程のように動き出し、窓から外へ飛び立っていった。
教室に入り、席に座る。いつも通り、リリィとゲニアスが口喧嘩を始めて、仲裁にプレッテとシオルが入る。それを無視して本を読むクワイル。心配が度を超えてあたふたしているダズ。その状況に痺れを切らすセリー。その中で私に話しかけてくるクレラゼ。この空間になんで私が居るんだろう、私なんかがここにいて良いのか。そういう思考が巡ることは少なくない。クルミ先輩の言葉を思い出す。"あのこと"が他の人にバレたら私はまた去らなければならなくなる。それに生徒会に入る条件を守るためにも、心を引き締める必要がある。折角できた、私を受け入れてくれる世界。ここに居るために、勉強を頑張ろうと改めて心に誓った。
西の孤島に高く聳え立つ塔の中で悲痛な声が響く。
「ボス、東の本部がやつらにやられました………いつまでこんなことが続くんですか、俺…もう嫌ですこんなの。毎日毎日仲間が理不尽に殺されて」
「わしもだよ、だが時はきた。」
「ま、まさかついに完成したのですか」
「あぁ、見よ。これを!これがあれば忌々しい魔法文明も今に終わりだ。あとは"あいつ"が上手く潜り込んでいれば良いが……。」
「戦略を立てるぞ、決行まで時間はない。」
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