戦うエテ公〜業務委託の闇〜
サン*
第1話 今こそ立ち上がれエテ公の証明
「おい、エテ公。お前が男だったらいい経営者になるのになぁ。」
私には、忘れられない祖父の声がある。「エテ公」。それは、男の子を望んだ祖父が私に与えた、世界でたった一つの愛称だった。
髪型は常にショートカットで、スカート禁止。習い事は柔道、空手。そんな男の子のように育てられた私にとって、それは侮蔑の言葉ではなく、「弱者であっても、卑怯な手を使わず、果敢に立ち向かえ」という祖父の教え、すなわち**「不屈の精神」**を意味する、魂の勲章だった。
その勲章が、いま試されている。
2025年○月○日。私は、巨大企業から届いた一枚のメールによって、すべての収入源を断たれた。画面に表示されたのは「契約更新なし」の通達。その瞬間、母子家庭であり、社長である私の会社収入はゼロになった。
人はまさかの事態に遭遇すると思考回路がショートすることを知った。何が起きている?なぜ?悔しい・・・ただ目眩と共に脳内を回転している。
そして、私が最も恐れたのは、その直後に起きたことだ。
弁護士へ相談した途端、メール、業務データ、メディア管理情報など、私が積み上げてきたすべての仕事の記録が、一方的にシャットアウトされた。この行動は、私には証拠隠滅を図ったとしか考えられなかった。
私は、あの巨大組織にとって、「偽装請負」という自社の闇を隠すための、都合のいい、使い捨てのコマでしかなかったのだと悟った。そして、そのコマの命綱(生活費)を、彼らはためらいなく切り捨てた。
「戦うエテ公」よ、お前の出番だ。
このまま泣き寝入りして、不当な行為を許すのか? 何日も何日も泣き崩れ我を失っていた。3人の食べ盛り男子を路頭に迷わす事態に母として情けない想いと、誰にも相談できなかった自分に嫌気がさす。何日経っただろう?
悔しさと不安、情けなさ、後悔――。
いや、違う。私は、不当に私を排除しようとした巨大な相手に対し、
「この勝負、私が買う」と決めたのだ。
私は、この戦いを、日本中のフリーランス、零細企業へのメッセージを込めた「リアル人生ゲーム」として仕掛けたい。そして同じような体験をする人を今後増やさないために公にしてやりたい。この理不尽な社会に訴えたい。
働き方改革の名の下に、子育てをせねばならない女性が、たった一通のメールで生活を奪われる。こんな世の中でいいんだろうか?私の価値とは?
これは、私自身を「エテ公」と蔑み、その人生を奪おうとした組織や人への憤りと、私の、そしてこのストーリーを読んでくれる人へのエールを込めた、魂をかけた物語だ。
私の逃げられない現実を読み、私の失敗や経験から何かを得たり共感してもらえたなら、私は法廷で奴らにトドメを刺す覚悟がある。
――次回、「エテ公」の誕生。私がなぜこんなにも「不屈」なのか、誰も経験したことのないぶっ飛んだ人生の始まりを綴る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます