あとがき
あとがき
本書を最後までお読みいただき、ありがとうございます。著者です。
この本は、一人の無職の男性の物語です。いや、正確には、多くの無職の人々、会社に疲れた人々、社会に適応できない人々の物語です。
私自身も、かつて会社員でした。毎日満員電車に揺られ、上司の顔色を伺い、評価に一喜一憂し、疲弊していました。そして、ある日気づいたのです。「これは、自分の人生ではない」と。
無職になることは、勇気が要りました。いや、勇気というより、絶望だったのかもしれません。「もう、これ以上は無理だ」という。
でも、無職になって気づきました。世間が「失敗」「負け組」と呼ぶこの状態が、実は「解放」であり「自由」であることに。
この本の主人公、トンテンカンオヤジは、私の分身です。いや、もしかしたら、あなたの分身かもしれません。
彼は、公園のベンチで古今東西の哲学者たちと対話します。ソクラテス、プラトン、アリストテレス、エピクロス、ディオゲネス、荘子、老子、ニーチェ、ブッダ、エピクテトス。
彼らは、時代も場所も違います。でも、驚くべきことに、みんな同じことを言っているのです。
「手放せ」と。
執着を手放せ。評価を手放せ。コントロールできないことを手放せ。
そして、「今を肯定しろ」と。
足るを知れ。自分を肯定しろ。永遠回帰を肯定しろ。
この本を書きながら、私自身が救われました。哲学者たちの言葉を借りて、トンテンカンオヤジに語らせながら、実は自分自身に語りかけていたのです。
「お前の生き方は、間違っていない」
「無職は、恥じゃない」
「お前は、自由人だ」
この本は、学術的な哲学書ではありません。厳密な解釈を求める方には、物足りないかもしれません。
でも、これは生きた哲学です。公園のベンチで、スズメに餌をやりながら、昼寝しながら、体験した哲学です。
哲学は、難しいものではありません。毎日の生活の中にあります。スーパーの弁当を食べながら考える「幸せとは何か」。公園で昼寝しながら感じる「自由とは何か」。これが、哲学です。
この本を読んで、もし少しでも楽になった方がいらっしゃれば、それが私の最大の喜びです。
「会社を辞めてもいいんだ」
「無職でもいいんだ」
「自分を肯定していいんだ」
そう思えた方が、一人でもいらっしゃれば。
最後に、この本を書くきっかけをくれた、すべての哲学者たちに感謝します。2000年以上前の古代ギリシャから、インドから、中国から、彼らの知恵は時空を超えて、現代の私たちを救ってくれます。
そして、無職のあなたへ。会社で疲れたあなたへ。社会に適応できないあなたへ。
あなたは、一人じゃありません。トンテンカンオヤジがいます。私がいます。そして、古今東西の哲学者たちが、あなたの味方です。
手放してください。そして、自由になってください。
あなたの人生が、何度でも繰り返したいと思えるものになりますように。
2025年10月
公園のベンチが見える部屋にて
著者
無職の哲学 AKIHIKO @Kaige_Jin
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