TSというやつ

小鳥の囀りが……天国に着いちゃったのか?

 

死後の世界ってあるもんなんだな……温かい。

 

目を開けると、まずは太陽の眩しい光が目に直撃する……まぶしい。

 そこは木々がお茂った所……森か……も、森?


 体を起こし、周りを見渡す。よし、森だな。


近くにあった川を覗き込む。


はぁ……やっと解放された。

もう俺を縛るものは誰もいない。ひゃっほーい……。



で、この状況はなんだ?



 まず俺、幼女になってんだけど。


 そして、めっちゃかわいいんだけど。


 さらに、白髪なんですけど。


 ……………どういうこと?



 まず状況を整理しよう。俺はあのヤリマン(不確定)女の顔を殴った後に棚が落ちてきて、押し潰されて死んだ。ここまではいいだろう……。


 でもその後よ。目を覚ますと森にいて可愛い幼女になっていた。


 ………WHY??


 ……よし、これ以上考えたらキリがない。とりあえず川に反射する顔を眺めることにする。


 ホント可愛いな。テレビに出てくる子役なんかとは比べ物にならんくらいだな。

 

 こんな顔面に生まれたら人生ヌルゲーだったろうな……。


「やっぱ可愛い……。」


 そんなことを言いながらボーッと見惚れる。これが現実世界だったらなぁ……。


 幼女になったってことは……。


ボロボロの服を勢いよくあげる。


うん、無いですねリトル君が。


 その時、後ろからガサッと音が聞こえた。


 ───ヴヴヴ……。


 だ、誰だ…? なんか聞こえて……く、黒い犬? なんかオーラが凄いんですけど……。


 そう思っている間に俺に襲いかかる。


 

 拝啓、お父さん、お母さん。お元気ですか?

 お父さんは定年退職して保険金とか生活保護でぬくぬく暮らしていますか?

 羨ましい限りです。

 その金を俺に少し分けてください

 

 お母さんはどうですか?旦那さんと幸せに暮らせていますか? 暮らせてるなら何よりです

 え、俺? 俺は今、元気ですよ。



「ギィいいいやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!??????」



 なんかヤバいの(多分魔獣って奴)に追われてます。助けてください。


「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!! 俺は不死身の京介だぁぁぁ!!!!!」


 だから心配しないで助けてくださいお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします。


「グアアああアアアア────!!!!」


 魔獣の咆哮が近づいていく。俺転生して早々に死ぬぅぅぅぅぅ!!!

 RTAなんてやってないぞぉぉぉ!!!!

 股間なんて見てる場合じゃなかったぁぁぁぁ!!!!


「やべっ!? 行き止まり!!?」


 あ、終わった……。


 ──と思った直後、地面から 謎の黒い手が伸び、奴の首を掴む。


「ギギギ……」


 強く首を絞められた後、バキッと音が響き、ダラリと力が抜ける。黒い手が消え、重力で魔獣は地面に叩きつけられる。


「は……?」


 棚に下敷きにされ、死んだ後は幼女になり、その次は謎の黒い手。


 脳内の容量はいっぱいになった。俺のことを守ってくれているのか?

 それとも何か狙っているのか?

 頭の中が疑問で埋め尽くされる。


 わからない────。


「手が……首をしめた?」


 目の前の状況にそれしか言うことができなかった

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