第18話 アイリスぅぅぅ! 確保ぉぉぉっ!
今回はオレが直接テレビ画面でみてたこともあって、その場にすぐ下界した。
即座にふたりの男へと左右の手を伸ばし、指を突きつける。
「神気」
「ぐふっ……」
「どへっ……」
一瞬で気を失い、崩れ落ちる男ふたり。
さらにその場から短距離転移で残りふたりの背後へ音もなく立つ。
もちろん、すぐに指を突きつけた。
「神気」
「何が……っ……」
「おまえら、どう……ぐふっ……」
残りのふたりは異変に気付くと同時に、神気で気を失った。
最初のふたりは何が起きたのかもわかってないだろう。
そのままだとアイリスが路地裏の地面に落ちてしまうので、オレはその前にアイリスを抱き止めた。
これはセクハラではない。繰り返す。これはセクハラではない。
たまたま!?
アイリスの体が全体的に下向きだったというか!?
現状の全部が全てにおいて偶然の産物って話で!?
ちっさめだけどちゃんと存在感はあるお胸さまに触れてしまったのはあくまでも偶然であって!?
動きがスローモーションだったとはいえ、そう受け止めるしかなかったわけで!?
う、動かすな。このまま、このままでおかしな動きはダメだ。
まちがっても揉んではならない!
指よ! 止まれ!
オレは慎重に……それはもうとにかく慎重に、力を加えないようにしてアイリスを立たせた。
もちろんお胸さまを揉んだりなんかしてません、はい。
「……大丈夫か?」
「あ……」
涙に濡れたアイリスの青い瞳が、オレの方へと向いた。
そのまま青い瞳が大きく見開かれていく。
「……ま、まさか……ゼノさま……?」
「また会えたようだな」
「そんな……ああ、都市神に最高の感謝を……」
ますますぽろぽろと涙を溢れさせたアイリスが、弱々しくオレに抱きついた。
そして、その力がどんどん強くなって、オレを離すまいと抱きしめてくる。
……これはかなり怖い思いをしたにちがいない。
役得……ではある。ではあるけど、これはもうアイリスのためであってオレのためではない。
あ、でも……女の子の柔らかさって、いいよね……。
オレもほんの少しだけ、アイリスを支えるように手を回した。
抱きしめるというには柔らかく、弱々しく、だ。セクハラ禁止なんで。
「もう大丈夫だ」
「ゼノ、さま……あぁ、ゼノさま……」
「心配いらない。もう男たちは倒した」
「ゼノさま……ゼノさま……あ、あ、会いたかった……ああ、ありがとうございます……この世の全てに感謝を……」
……いや、アイリスさん?
全然離してくれないんですけど?
も、もちろん嬉しいけど、でもちょっとその……照れるというか!?
すごい力で抱きついてきて、頬ずりまでされてるような気もするんですけど!?
「ゼノさま……ゼノさま……はぁ、はぁ……」
「お……落ち着くんだ、アイリス……」
「あ、あぁ……ゼノさまが、あたしの名前を……呼んで……あぁっ……」
いや!?
名前を呼ぶのって普通だろう!? 普通だよなあっ!?
「あぁ、もうっ、もうっ……ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま……抱いて……」
「え……?」
「抱いて……抱いてください……ゼノさま……」
え、ええと……。
今もすでに抱きしめている状態ですけど……?
「もう嫌なんです……いつ、どんな目に遭うかもわからないこの町で……せめて、初めてくらいは好きになった人と……ゼノさまと……」
は!? 初めてって!?
まさか抱いてって……そっちの抱いて!?
え? そういう感じの抱いてってこと……!?
「抱いてください、ゼノさま……ゼノさま……」
うわああああっっっ!?
めちゃくちゃ体をぐにぐにしてくるうううっっ!?
「お……落ち着くんだ、アイリス……とりあえず、この場から離れよう……」
できればオレからもちょっとだけ離れてほしい!?
いや、気持ちは嬉しいんだけど!
オレは密着してくるアイリスをお姫さまだっこで路地裏から連れ去ることにしたのだった。
あ!
ダメだって!?
首のところにキスとか……!? うひっ!?
オレは拠点の元宿屋までアイリスの攻めを耐え抜くしかなかった……。
それは……かなり厳しい戦いだったといっておこうか……。
☆☆☆☆☆
もうダメだと思っていたところに、ゼノデウスの手がやってきた。
絶望からの……それが反転した上で最高の幸福がやってきた。
アイリスにとってはいきなり天地がひっくり返ったかのようだった。
まさに、神の御業である。
その落差がより巨大な祈りとなってアイリスから溢れ出ていた。
(あぁ、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま、ゼノさま……)
アイリスの脳内はゼノデウスによる幸福で埋め尽くされていた。
ゼノデウスの首にくちづけし、そのヒゲに頬ずりする。何度も、何度も。
だから、アイリスの行動はもはや獣の本能のようなものであって……ゼノデウスの首筋がキスマークで埋め尽くされたのも仕方がない、のかもしれない。
アイリスはゼノデウスとの運命を感じていた。
こんな偶然があるはずがないのだ。ゼノデウスが運命の人でなければいったい誰がアイリスの運命だといえるだろうか。
たん、たん、たん、たん、たん、たん、たん、たん。
かちゃり。
きゅぅ~、ぱたん。とん。
かちゃり。
明るさが失われて、薄暗がりの中へ。
光量の変化を視覚からアイリスは感じ取った。
そこでようやく、アイリスは本能ではなく理性を少しだけ復活させた。
完全な暗闇ではない。
外から屋内へと入ったばかりの……目が慣れない薄暗さ。
そして……おそらく、カギを閉めた、音。
アイリスは気づく。
(……ここは、まさか……夢にまでみた……ゼノさまの、家……?)
ドクンっ! ドクンドクンドクン……。
アイリスの心臓が高鳴る。
ゼノデウスに願ったことが、真実となるかもしれない。
アイリスは不安1割、期待9割で……ゼノデウスの首をきゅっと抱きしめた。
☆☆☆☆☆
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