2話 これが転生?

 視界が暗転した

 音が聞こえる、どこだ、ここ……

 目は見えない、でもそこになにかがいるというのはわかる

 ……俺は転生した?転生したから、今こうやって目が見えずにいるのか…?

 数ヵ月ほどたった

 俺は回りが見え始めた、結構見える、なんかぼんやーり、とかじゃなく、結構見えるのだ、すげー

 俺の回りには人がいることもわかった、多分家族?なのだろう

 赤髪の筋肉ムキムキの男と、金髪ポニテの美女、後は黒髪のメイド服を着た多分メイド、お世話してくれてる人

 多分この二人が両親だとしたら俺めっちゃイケメン、まぁヒーローがブスだと人を助けててもキモいって思っちゃうから当たり前だな…やばいよ、ナルシストになっちゃうかもしれねぇ、このままだとまずいまずい、まずいよー?

 でもだな、お世話してくれてるのがメイドであっても、この二人は多分だけど忙しい時間の合間に俺に会いに来てる、めっちゃ可愛がってくれてる、普通に楽しい

 中身が39歳でも今は0歳児だ、バブバブしたって良いでしょ?


 なんやかんや時が流れ、一歳になり、喋れるようになった

 さすがに喋れるぜ、俺だって一年たったらな?

 それで、わかってきたこともある、まぁまずは黒髪ロングが言ってたように、この世界は魔法がある、俺の親二人をみてればわかった、後、この家は相当お金持ちだ、貴族ってやつ?

 それにこの家立ち入り禁止のとこ多すぎだ、どこにも行けないじゃん

 そして能力、助けを呼ぶ声が聞こえるってのな、それの使い方がいまいちわかってないが、なんか聞こえる!って念じたらたまにしぬぅ!とか死にたくない!とか聞こえてくる、多分能力が発動しているのだろう

 でも、この世界は魔法社会っぽい、だから普通能力なんて持っているものではないのだろう、知らんけど

 能力発動時の感覚はぐわぁんほわほわほわ、って感じ、あんま伝わんないかもだが、今の俺にできる表現は、ぐわぁんほわほわほわ、なんだ

 どう説明するのが良いのだろうか、なんか乗り物酔いする人が車に乗った時の感覚が始めらへんにきて、酔ったときみたいなふわふわーみたいなのにちょっとマシにした的な、ほわほわした感じが続くんだよ

 これで俺は限界だ、説明しづらい

「アベル様、ご飯となりました」

 あ、メイドちゃんだ

 そうそう、わかったのが、俺の名前?アベル、多分だけど、アーベル、それを言いやすくしてアベル、お母さんがたまに、『あなたはアーベルって言うのよ』って言ってくるのを覚えている、別にほとんど変わんないんだからアーベルで良くないか?

「わかったー」

 俺は頑張って歩き出した、やはり異世界、子供の成長速度は違うのかな、一歳とかで日本足で歩けて喋れるのは異世界だからか?わかんない、俺ヒーローなるとか言ってるけど全然赤ちゃんとの関わりなかったしな

 食事もろもろし終わった、後は寝るだけという簡単なお仕事さっ、カッコつけて言う必要なかった

 まぁこの時間を無駄にはしない、ヒーローになるには一分一秒大切に訓練をしなければいけないのだ

 なにをするか、と思うだろう、俺は能力をレベルアップしていくのだ!

 どういうことかとな?わからないのかな?意識を研ぎ澄まし、その状態でめっちゃ集中して能力を使う、そして色んな声を聞く、こうすることによって、多分聞ける時間とかもろもろ上がっていく、知らんけど

 なんかそんな気がする

 勘と言うのは大切だ、だから勘がそれっぽいって感じだったらそうなんだ、疑わないぞ、俺は俺の事を信じる

 うん、とりあえず今日も今日とて助けの声を聞こう

 座る、目を瞑る

「能力、発動」

 俺は小声でそう呟いた

 暗闇の世界に何かがブワッと広がった、能力を使ったからきたのだろう、なにかは正直俺にもわからないが、多分世界中の声を聞くから察知的な何かしらなんじゃないかと推察している

 聞こえる、頭に、耳に、ゾワゾワと何かが来るような、走ってくるような感覚がする

『誰か…助けてっ』『俺はまだ、死にたくない!』『神様…』『僕が何をしたっていうんだよっ』『もう、ダメなのかな…』『お母さんっ!』

 少女の声が、いかつい男の声が、優しい女性の声が、プライドの高い男の子の声が、全てを諦めた少年の声が、紳士的な男性の声が、俺の頭に流れ込んでくる

 どこからだ、どこから聞こえるんだ、俺は探している、まだこの歳だから助けはできない、けど場所を特定できないと後々ヒーローとしてやっていけないから場所もわかるようになっておく必要がある

 わかりそうでわからない、まだ俺には足りていない、どうしたらわかるんだろうか

 まぁ、後々わかるっしょ、俺はあきらめて疲れたし寝ることにした

「おやすみ~ん」

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