禁断のラブストーリー 〜知輝編〜
itigo
第1話
これは、俺とあいつの子供が家を出るまで話だ。
「知輝バイバイ!」これが、香恋の最後の言葉だった。香恋はこの後交通事故に遭ってしまったのだ。(俺が一緒に帰っておいたら…)知輝はそう思っていた。
⚪︎月×日高校の学校の帰りに幼馴染の香恋と一緒に学校から帰っていた。香恋と俺は幼稚園から一緒に遊んでいて、家が道を2つ挟んだところに住んでいるてとても仲がいい。が、2人とも恋愛には興味はなく、ただの女友達としか俺は思っていた。俺の友達に会うと、次の日絶対に「お前彼女できた?」と聞かれる。だから毎回こう言う。「俺、恋愛とかきょーみねーわ」そう言ってその場を離れる。今日もいつも通り挨拶をする。「じゃあね知輝!ゲームばっかしたらあかんよ?」「はいはい、分かってるよ、また明日な。」いつもと同じ会話なのに少し違和感があった。(…?なんか今変だったか?まぁいいか、ただ寝不足なだけか。よーし!ゲームしよ!今日はマホルクテの新ステージの日だ!早く帰らないと!)そう思って俺は急いで家に入り、ゲームをした。30分後、俺はゲームに夢中になって気付いてなかったが、もう勉強をする時間だった。(うわ、もう勉強しなきゃ…最悪やだなー)そう思って机に行ったら、急に電話がかかって来た。(うわ…びっくりした何?香恋の、お母さん?何だ?珍し。)「はい、もしもし!知輝です。香恋のお母さん、どうされました?」「あのね、知輝君落ち着いて聞いて欲しいんだけど香恋がね、交通事故に遭ったの。で、香恋が、知輝に会いたいって言ってるから○○病院まで来てくれない?」「え、香恋が交通事故に遭った…?……分かりました!○○病院ですよね?すぐ行きます!」プツッ、ツーツー。よし!早く行かないと!えっと○○病院だから、自転車のほうがいいか。「お母さん〜?ちょっと病院行くわ!」「あら?何で?どこか具合が悪い?連れて行ってあげようか?」「ううん。大丈夫!じゃあ急いでるから!帰りは分かんない!ご飯は先食べてて!行って来まーす!」俺は自転車を精一杯漕いだ。香恋のお母さんから、Lineで「ゆっくり来てね〜!交通事故起こしたら、お母さんが心配するよー?」と送られて来ていた。香恋のお母さんも自分の娘が交通事故に遭っているのに気を使わなくてもいいから、香恋の心配を先にして欲しいと、思っていた。(香恋!すぐ行くからな!それまで持ち堪えとけよ!)静かな街の雰囲気な中自転車を漕ぐ音が街中に広がった。そして、病院に着き香恋の側に駆け寄る「香恋!香恋!ごめんな…ごめんな…俺は少し違和感があったんだ。ちゃんとしてないから!俺がちゃんとしてないから!だから…!香恋は…!」「知輝君!もう香恋には伝わったよ。きっとだから、そんなに自分を責めないであげて、お願いきっと香恋もそう思っているはずよ。ね?香恋。」何も聞こえないはずの香恋の口から「そうだよ、もう私は大丈夫だから、私の事は忘れて知輝も仲のいい友達のこれから過ごして。私のそばにいるよりかはマシだから!さぁ、早く!寂しいね…分かるよその気持ち、でも今は楽しんだほうがいいの。だからお願い、私の最後のお願いお母さんにも伝えて。」そう呟いている声が聞こえた。(香恋はそばにいるよりも、俺の友達といるほうがマシ?そんなわけない)俺は頭が混乱してしまったが、確かに俺のこの耳でそう聞こえた。「香恋、何か言ってた?」「はい、香恋の事を忘れて俺の友達と一緒に居る事と、お母さんにも、香恋の存在を忘れて欲しいとの事です。」「香恋の存在を忘れる…そうね、そんな事を言っていたの…最後まで香恋らしいわね。」もう香恋はこの世にいなくなってしまうのか。そう思っていたら、医者が来て、「香恋さんのお友達ですか?」と聞いて来た。「はい、そうですよ。」「そうですか…きっと香恋さん嬉しいと思いますよ。」「そうですか、香恋の状態は?!」「残念ながら…もう…よくない状態です。」「そうですか…」口を揃えて言う。きっと香恋のお母さんも悲しいはず、そう思いながら「すみません、そろそろ母が心配するので俺はこれで」「お気をつけて…」そう言われて俺は病室を出た。最後には香恋のお母さんが、泣いていて医者と話をしているところを見届けた。(香恋、ありがとな。)そう言って、家に帰る。「ただいまー」「あんたどうしたのー?急に病院なんか行って〜」「香恋が交通事故に遭ったから…」「え?!香恋ちゃん、交通事故ならあったの?!」「うん、Lineでトラックに吹っ飛ばされたって言ってたよ」「あら、本当〜」「お母さんも行ったら?香恋うれしんじゃない?」「え?て事は香恋ちゃん亡くなったの?」「ううん、心拍数がもう…」「あら、明日行ってみるわね」そして、香恋が交通事故に遭ってから3日が経った。俺はまだ誰にも言ってないし、先生も言ってないから俺からは言わないようにしている。ある日の帰り、香恋のお母さんから、Lineで、香恋が亡くなったと送られて来た。(マジかよ!香恋いないから最近は1人で帰っていながら香恋の事を考えていたけど、もう死んじまったのか、)そう心で言いながら俺は病院まで走った。病室に着くと香恋の一族と、俺の両親が集まっていた。「すんません!遅れました!」「……あら、知輝君来てくれたのねわざわざありがとう」「いえ、今は香恋の事を…」「もう、いいのしょうがない、人って死ぬ事を前提に生きているから、死ぬのが早いか遅いかなの。で香恋は早い方の道につながった。恋っていう字が名前に入っているから責めて結婚はして欲しかったな〜…」「お母さん…すんません!俺があの時ちゃんと家まで見送っていなかったからこんなことになったんです!だから、香恋は悪くないしお母さんも悪くない俺が悪いんです!本当にすんません!」そう言いながら俺は香恋のお母さんに謝罪をする。「後、お父さんやお祖父さん、お婆さんも!本当にすんませんでした!」「あらあら、いいのよ〜、悲しいのはみんなそうだけど、知輝君は悪くないんだからぁ〜ほら、顔をお上げ、誰も知輝君のせいとは思ってないわよ。」そう、お祖父さんやおばあさんは言ってくれるだけど心のどこかで自分が許せなかった。そう、心のそこの何処かで…「香恋の手、握ってもいいっすか?」「全然いいわよ〜香恋も嬉しいと思うわ、」俺は香恋の手をぎゅっと握る。死んでいるからか手がとても冷たかった。その瞬間心拍数が0だったはずの数が1、2…と上がり始め、やがて「知輝…?知輝なの?」と香恋の声がした。「香恋!香恋が生き返った!帰って来てくれたんだ!」久しぶりに聴いた声だった。細々とした声だったが何故か親近感が湧いた。その日大歓声が上がった。やがて香恋の家族からには「命の恩人」と、名前が付いた。俺はその時何が起きたかが分からなかった。ただ俺は香恋の手を握っただけだったからだ。でも、これからまた、香恋と一緒に帰れる事は嬉しかった。いつも通りの日常が戻ったと思ったら、医者から「香恋さん、腰回り全体が骨折しています。リハビリでも無理な状態なので、車椅子で過ごすことになります。」と言われたらしく、「知輝〜!こっちこっち〜」と元気な声が聞こえたその先には車椅子でこちらに向かってくる香恋の姿があった。声は元気そうだったが、車椅子の操作は苦戦していた。俺はすぐ、側に駆け寄る。「大丈夫?俺が家まで車椅子押して行くよ。」「そんな!いいのに!…ふふ、ありがとう」俺は「ありがとう」この一言を最近聞いていなかった。だから何故かとても嬉しかった。「知輝?大丈夫?私別に車椅子押してもらわなくても帰れるから大丈夫だよ」「あ、ごめん全然大丈夫。ちょっとボーっとしてただけ。車椅子押すの大丈夫でしょ?いつも移動教室1人で苦戦してるところ見てるから、手伝わせて。」「分かった。じゃあよろしくお願いします。」俺は車椅子に手を添える。そして、車椅子を押した。何故か車椅子は自分が押しているのに、特に何も持っていない感覚がする。「香恋?」「んー?何〜?」「あんた、痩せた?」「何で今聞くの?!(照)確かに何も食べてなかった。」「痩せすぎだよ!もっと食べて!」「分かった。そうする」沈黙の空気が続く。少し気まずかった。だから、精一杯話題を振る。決して、病院の事、入院していたことのこと以外で。そんなことで盛り上がっていると気づいたら、香恋の家の前だった。「今日はありがとう!私知輝と話すとちょっと怖かった。」「なんで?」「だって、嫌われたらどうしよう…とかもう近寄んな!とか言われたら…とかって考えると、何が何か分からなくなって怖くなった。でもそんな時、知輝が家まで送るとか車椅子押してあげようか?とか優しい事を言ってくれて、勇気をもらっただから、本当にありがとう!」「全然いいよ。俺も香恋と同じで怖かった。もう友達やめるとか、そんなネガティブな発言をしてくると思ってたから」「そんなこと言うわけないでしょう。」「それもそうか。」「じゃあねまた明日!」「おう!また明日!」そう言って俺は家の方面にUターンした。この時俺は初めて、香恋の事を好きになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます