いつだって、おんなじだった。

玉置ぽえた。

第1話

別れ際は

いつだって

堪えきれず…

振り向いてしまうのは

私だけで…。

楽しい時も

寂しい時も

あなたは

こちらを気にすることなく

足早に去っていく。

その瞬間に

2人を繋ぐ

細い紅い糸は

ぷつりと切れて

地面に落ち

踏まれ

汚れて

見失ってしまう。

何度も

何度も

切れた糸の

端と端を

結んだけれど

次第に疲れ

糸は垂れ下がったまま…

「じゃぁね…」と

いつものように

別れを告げて

私は

初めて

振り返りらずに

苦い思い出をこぼしながら

前を向いて行く。

紅い糸は

指から静かに

解(ほど)けて落ちた。

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いつだって、おんなじだった。 玉置ぽえた。 @poeta

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