救世の乙女は3人の王子に求愛される〜あたしが恋をしないと世界滅亡ですが、恋とはしようと思ってするものではありません〜

加須 千花

プロローグ

Prologue 

 玲瓏れいろうたる美男は、タクアンヌ=ローズのあごに手をあて、くい、と持ち上げた。


「あなたは可愛い。」

「!!」


 どきっ。


 タクアンヌの心臓が高鳴った。

 優美な顔立ちの、類稀たぐいまれなる美男に、顎をとられ、正面きってそんな事を言われれば、誰だって心臓がこうなってしまうだろう。

 

「あ、そうそう、庶民には知らされていないですが、救世きゅうせいの乙女ウメボシアにまつわる神託は、まだあります。」


 男の清涼な吐息が、タクアンヌの唇にふれる。

 タクアンヌは顔が赤くなる。


「レディーが知ってる神託のあとには、救世の乙女ウメボシアを恋に落とした男は、この世で最高の富を得る、と続きます。」

「な!」


 驚くタクアンヌに、妖艶に微笑む男の顔が近づいた。

 ピーコックブルーの瞳がきらめきながら、急速に目の前にせまる……。


(あれぇ?

 あたし、このままじゃキスされちゃう?!

 ええええええ?

 どうしてこんな事態に?

 あたし、昨日までは、いつもと同じわりえのしない、くそったれな奴隷生活だったのに。

 どうしてぇ──────っ??)




     *    *    *




 ───物語は、前日の夕刻にまでさかのぼる。

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