第5話 皇帝との謁見
スマホの時計をみるとまだ十四時だった。
短時間にとても濃い人生を、送ってしまったとつくづく思う。
一時間後に陛下との謁見があると沙汰があった。
俺は白のワイシャツに黒のスラックス、黒のピカピカの革靴そして、これまた黒のジャケットで決める。
クリスは金髪をアップにして白いドレスを着ているまるでウェディングドレスのようだ。マリアも対抗しているわけでは無いが銀髪をアップにして白のウェディングドレスを着ている。
まさに、新郎新婦のお披露目のようだ。
この二人狙っているな。
暫くするとドアがノックされ開けると執事見たいなオッサンと騎士が二人ドアの前にいた。
彼らの後を歩いて行くと、大袈裟な装飾がされた下品な両開きのドアの前で、歩みを止めドアの前で大きな声で名乗りをあげたていた。
入室の許可が出るとドアが開き俺達は中に入って行った。
目の前の一段高いステージ見たいな所にさぞ立派な玉座が鎮座して、両壁には役職のありそうな偉ぶった親父達が並んでいた。その後には帯剣した騎士達が等間隔に整列している。
ほう、絶対権力者かアホくさ。
「皇帝陛下の御成ですぞ!こうべを垂れよ!」
俺はクリスとマリアの腰に手を回し寄り添うように立っていた。
俺とクリス達はこの国の者では無いし
茶化すにはもってこいだ。
「貴様ら陛下の御前であるぞ控えおろう」
ドンドンドンと低音の効いた太鼓が鳴らされ皇帝陛下が現れる。
「うわー!しょぼ!」
「貴様何故跪かぬ」
「ああ、俺達この国の者じやないから?何でアンタに跪くの?」
「貴様ら!」
「よい!ベンキよ」
「ははっ!」
ベンキのおっさんか……ぷっ
「貴様!」
「私ヤシマが皇帝陛下にご報告があります!」
「良い申してみよ」
「はっ!俺達、クリスティーナとマリアンヌは俺との婚姻が正式に成立至りましたことを報告致します!」
「なんだと!婚姻とな!」
「はい、俺達はラブラブの新婚です!」
二人を抱きしめ二人にキスをする。
「なっ!誠なのか!」
おお、めっちゃ悔しそうな顔をしてるわ!亜人を見下している癖によ!
「と言う事で俺達この城を出て行きます。今迄俺の妻達の面倒を見て貰いありがとうございます。でも、これからは俺達夫婦で、世の中の困難を乗り越えて行きますので、ご心配なく長い目で見て下さい!」
おお、脳筋のバカがキレ掛かっている
もうひと押しか。
「じゃ、クリス、マリア行こうか」
「はい、旦那様」
「キン様、私は何処までもご一緒です」
最高のセリフいただきました!
「異世界人のクセに我らの皇帝陛下を愚弄するとは万死にいたる貴様の小汚い命で罪を償え!」
「酷い言われだな俺じゃなけりゃ泣くぞ」
「そこになおれ!騎士団長のアゾンがその首跳ねてくれるわ!」
「はん!これても、召喚された勇者だぞ
お前のような縁故採用の騎士団長に負ける筈がなかろう」
「こい!愚か者め!」更に煽ってやった。
おお、ブチ切れているよ!上手くいったね。クリスとマリアはマジで心配してくれてるの後で慰めてあげなくちゃね!
おっ結構早いって言うか俺初めて殺気の籠った太刀筋みたわ!
まずったか?
オチを考えていると本気の袈裟斬りをギリギリ躱した。相手は俺を殺す気なんだ。甘い考えは自死しかない!
いいぞ、いいぞ、上手くやってくれよピエロのおっさん!
「旦那様!」
「キン様!」
「奥様達が応援している。俺の勇姿見せてやるぜ!」
ブンブン剣を振り回す団長。
「うわーー!お前本気で僕を殺そうとしてるのか!」
問答無用で次の太刀が俺に切り掛かって来る。ヤル気満々だ!
マジか?俺は咄嗟に尻餅をつく。
「わー!死んでしまうー!辞めて下さい!
まだ死にたくなーいよー!」
「ふん!正体表したなクズめ死ね!」
「イヤーー!!助けて下さいーー!!」
俺は必死に足をバタバタさせる。
騎士団長が上段からの振り下ろしを
左のトウキックで団長の右手首をへし折り左足で剣の柄の底を偶然を装い蹴り飛ばした。
もの凄い回転で玉座に向かって真っ直ぐに飛んで行った。
「陛下!危ない!」
ヒュルルルルドン!
皇帝が座っていた玉座に団長のロングゾードが根元まで突き刺さった。
「うわーーっ!」
皇帝の横の髪の毛がぱらりと落ちボダっと右耳も落ちたのだった。
「ぐぁつ!」
ありゃ、ちよっとズレたか……頬を掠める筈なんだけど耳までキレちゃった。
奥さん達を見ると肩を上げ苦笑いだ。
「ぎゃーーっ!」
両刃の剣の上から耳を押さえるから指も切れたようだ。バカなのか?
「陛下〜!貴様このままで済むと思うなよ!」
「えーー!今のは誰が見てもコイツの仕業でしょう皇帝を狙ってたぞ!
お前達も見ていただろう!
近衛騎士団よ早く皇帝を亡き者にしょうとしたこの者を捕まえろ!」
「貴様ー!!」
「いやーー!犯罪者が暴れているー!
逃げろーー!」
俺はクリスとマリアの手を引き謁見の間から、脱出する。
「おら!退けノロマ共!」
謁見の間のデカい両開きのドアを蹴り飛ばし、俺達は逃げ出したのだ。
「アハハハハ!逃げろ逃げろバカ共が追いかけて来るぞ!」
「キャハハハハ!旦那様面白〜い!」
お前はリリスかと一瞬思った。
何故あんな糞小説を思い出したんだろ?
角を曲りクリスの部屋に飛んだ。
「クリス!故郷に帰る同胞を転移させろ
大切な物だけ持ち出せと伝えろ!」
「分かったわ!」
「マリアはハジからこの部屋の物全てを収納するんだ!俺は反対側の家具や全てを収納して行く」
「任せてキン様!」
片っ端から何でも収納して行く。
「旦那様コレで全員よ!」
「マジか……貧富の差がコレ程迄とは欲だけの無能がトップだとこうなるのか!」
「よし!クリス、マリア、エルフの国へ飛ぶぞ!お願いね」
「えっ!」
「俺行った事無いし」
「ふふ、そうでしたわ転移!」
一瞬の浮遊感の後に俺は、知らない所に立っていた。
「何者だ!」
周りを衛兵に取り囲まれた中々の練度だ。
今日二度目ね。
「姉様!クリスティーナで御座います!」
「なに!クリスなのか!人間の城にいた筈ではないか!」
「はい!しかし私達の救世主様が現れギルベート帝国で虐げられた者達といっしょに脱出して参りました」
「キン殿こちらへ、マリアもです」
俺とマリアは厳かに前に歩み出る。
「クリスの姉ちゃんって女王様なの?」
小声でマリアに聞いた。
マリアは何も言わずに頷いた。
「ほ〜だから姫様なのか」
納得の俺氏だった。
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