あったか~い紅茶に、はちみつもどうぞ

虐げられた戦乙女が敵国へ差し出され、冷酷と噂の王に「初恋の暴走みたいな重たい愛」で大事にされる、溺愛ロマンスです。しかも溺愛側が本気で不器用なので、甘さと笑いが同居します。

クラルス王国では「気味が悪い」「役に立て」と人格を削られてきたエルが、アウレア王国では丁寧に扱われ、自己評価が追いつかず戸惑います。そこへユリウスの「理性が吹き飛ぶほどの一目惚れ」がぶつかり、エルは自分の知らない愛に困惑する……このギャップが甘さと切なさを同時に生みます。

関係性も分かりやすくて、「傷ついた戦乙女」×「恋にだけ致命的に不器用な王」となっています。ユリウスはエルの前だけ妙に取り乱し、エルは「愛とは何か?」を真剣に考えます。
ここに、アルベルトのツッコミが入って空気が軽くなり、重い設定を読みやすくしています。
さらに、戦乙女設定が飾りではなく、剣術訓練や身体感覚の描写が入ることで、恋愛が「守られるだけ」にならず、エルの芯の強さが残るのもグッドです。

虐げられヒロインが救われる話が好きで、なおかつ、溺愛一辺倒ではなく、不器用さや照れ、言葉のすれ違いも含めて味わいたい人におすすめです。

国の道具として生きてきたエルは、ユリウスの重たい愛を「怖いもの」ではなく「抱きしめていいもの」だと受け取れるようになるのか――そしてユリウスは、恋にだけ臆病になる自分を乗り越えて、王としても彼女を守り抜けるのでしょうか。
是非、はちみつ入りの紅茶のようなお話をご堪能ください。

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