第21話 魔法少女は危険と出会う!
「本気で言ってる?」
「はいっ!!!」
前を歩いていたドールが振り返り足を止めた。
私がねーちゃん助ける?
「そんなの出来たら前からしてるよ。
私じゃ出来ないから出来る魔法少女を探したんじゃん!」
「むぅ!!魔法少女は最強です!!!不可能なんてありません!!!」
「ドールは魔法少女の可能性信じすぎ。それぞれの能力を越える事はできないんだから。
とーぜん限界があるっての」
私の場合は氷。
暖かいねーちゃんとは全く違う。
ただの氷。
「ふぬぅ!!!それは!形です!!!本当じゃないんです!!
ブッカーズだって頑張ってました!!!」
いや誰よそれ。
流れ的に魔法少女なんだろうけど。
「・・・・・・私はその子みたいに強くないよ。
かーさんに守られて。
ねーちゃんに守られて。
ずっと守られて、
何にも知らなかったただの子供。
結局。
2人が生きてくための道筋を作ってくれないと、私は何も出来ないんだから」
・・・・・・はっ。
言ってて悲しくなってくるわ。
「ふぬぅぅうううう!でも!」
「私はねーちゃんを助けたい!ドールがそれを助けてくれる。それじゃダメかな。
・・・・・・あぁ。お礼いるよね。お金が欲しいなら頑張って稼ぐからさ。
私、コレでも魔法少女だし」
「違います!魔法少女は!願いなんですっ!!
助けたい!なら!フロストストリートの魔法じゃないとダメなんです!!!」
「っ!」
そりゃ助けられるなら私が助けたい。
でも、人には出来る事と出来ない事がある。
だから病院とか飲食店とか各々が力を発揮できる場所があって、世界全体でみんなが役割分担をしてる。
私はねーちゃんを助けたい。
でも、残念ながら私にその能力は無い。
「・・・・・・私には出来ないんだよ」
「そんな事はありません!!!
魔法少女に不可能なんて無いんです!!!!」
「なんで!っ。・・・・・・そんな。ドールは魔法少女を信じられるの?現実的じゃないよ」
「だって!!!願いがあるから魔法少女なんです!!
誰かを想うから
最強で!無敵で!!不可能なんて無い!!!
どこまでも真っ直ぐに私を見てくる。
薄く笑う目は私の心を見透かしてるような不気味さがあって、
でも彼女から出てくる言葉は純粋で穢れのない真意で。
・・・・・・。
多分。あの時から私の持ってたその願いは叶わない。
ねーちゃんがまた、怒るかもしれないから。
でも望んで良いと、そう言われたら。
もう一度夢を見たい
「・・・・・・私の願い。って。
そこまで言うなら・・・・・・ならどーすんの?
私。氷なんだよ?
私って。知らない事だらけだし。
わかんない事も多いし。
・・・・・・っ。
誰かが決めてくれないと道を歩けないし。
これ以上っ!変わるのが、怖くって!!
動けないのっ!!!!!!」
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
無理だよ。
誰かに言われて動くのが良い。
かーさん。ねーちゃん。
誰でも良いから私に道を示してほしい。
助けたいって言うのに、何処かで無理だって諦めがあって。
でもそれじゃダメだって。
大切な2人が居なくなって、凍った様に動けなくなって。
でもそれじゃダメだって。
やっぱり助けたいって思っちゃって、
でもそれじゃダメだって。
誰かにしてもらうんじゃ無くて、自分が助けるべきだって。
また。
かーさんに合いたい。
ねーちゃんと話したい。
かーさんとねーちゃんを助けたい。
かーさんとねーちゃんの関係を治したい。
また3人で。小さい頃みたいに一緒に暮らしたい。
私が助けたいから。
だから。
「私は、ねーちゃんみたいにあったかく無い。ただの氷。
・・・・・・でも。
助けるって!そう言っていいなら。
私は願いを叶えたい!!!
「はいっ!!!任せてくださいっ!!!!」
⚪︎⚪︎⚪︎魔法少女 視点 ⚪︎⚪︎⚪︎
ドール!!!
ねーちゃんさんの事が!
わかっちゃいました!!
えっへん!!!
「あーーー。鼻痛っ。ひっさぶりにガチ泣きしたわ。
で?なんでそんなドヤ顔なのさ。腰に手当てて可愛いけどね」
実は!
フロストストリートのねーちゃんさんは、身体に問題はないんです!!
びっくりですね!!!
手を挙げて喜んじゃいます!!!
「わぁぁぁぁぁああああああ!!!
ねーちゃんさんは!綺麗です!!」
「ほんとそれ。あのかっこいい顔で実は優しいんだから惚れるよね」
「惚れ惚れです!!でも起きません!!!」
「そ〜。一応、アレって私の魔法だからさ。身体を凍らせても、あっ今動こうとしてるな。くらいはわっちゃうの」
「動かないです!!!」
「いや何度も言わないで?
身体は
「つまり!起きたくないんです!!!」
「・・・・・・」
「起きたくないんです!!!」
「・・・・・・」
「お!」
「聞こえてるから。・・・・・・え?起きたくない?は?え?」
つまり!
お寝坊さんです!!
「ですが!!
ねーちゃんさんからは美味しそうな魔力を感じません!!!」
「お、美味しそうって。やめてよね。ねーちゃん食べようとするの。
えーと?つまり魔力不足?確かにそれで倒れる魔法少女は居るけど、それを治せばいいの?」
「そうです!
今のねーちゃんさんは魔力が溜まらないんです!!
私の魔力はお腹に溜まってます!!!
パンパンです!!!!」
まるで普通の人みたいな感じです!!!
魔法少女は魔力が必要です!!
なのに!
今のねーちゃんさんは!!
魔力を作ったり溜めたり出来ないんです!!!
「魔力か。あんま意識した事なかったかも。
魔力ってほっといたら回復するし、
魔法を使うって思ったら減るし」
「はいっ!!!
魔法少女は願いですから!!!
だから!
フロストストリートが分けてあげましょう!!」
「・・・・・・願いを分ける?」
「分け分けです!」
ドールがねーちゃんさんを動かしても良いですけど!
それで動くのは魔法少女じゃないと思うんです!!
ねーちゃんさんを想ってるくずりさんの願いじゃないと!!!
魔法少女を動かすのは願いなんです!!!!
「さぁ!
魔力と祈りをぐぐぅ〜っとねーちゃんさんに押し込むために!!
魔力を沢山得るために!!!
マモノ退治を始めましょう!!!!」
︎⚪︎⚪︎⚪︎プリンスブレード 視点 ⚪︎⚪︎⚪︎
「今何号目ですの?」
『この山で何号という言い方はしないそうですよ。ですが敢えて言うなら5号ですね。
過去のデータから山頂までの距離は残り半分と推測されます』
再び結界へ入ったプリンスブレード。
微かに感じる魔力を頼りに山頂を目指していた。
「やはり結界となると魔物の数が尋常ではありませんわね」
『討伐した魔物は既に追加で300体を超えています。プリンスブレード、結界主の魔力は感じますか?』
「
山頂に近づくにつれ、うっすらと魔力を感じ取れる様になってきましたわ。
ですが、コレは・・・・・・ロスト・タイムですわね」
『良かった。無事なんですね。
今の所、唯一の吉報ですね。
それと、これだけ自身の縄張りでプリンスブレードが暴れているにも関わらず、結界主が現れないのは少し不自然です』
「暴れたとは。人を野蛮人みたいに言うのはやめてくださいまし。
雑多も群れればそれなりに面倒でしてよ?
結界主とやり合う最中に集まっても手間ですから間引いているだけですわ」
『ちなみにそれなりの基準を聞いても?』
どうでしょうか。
結界主を相手取りつつ、更にSSを100、200と同時に相手取れと言われれば腹を括る必要があるでしょうけど、Aくらいででれほど来ても誤差かしら?
「そうですわね。っと。その前に魔物が来ましたわ」
頭上から降って来たのは一際大きな小猿。
3mはあるかしら。
両手が肥大化しており、血に濡れており赤黒い。
猿と言うよりゴリラと言った方が良いですわね。
赤い
そして、小猿の体毛は汚い。
『プリンスブレード』
「えぇ。わかっていますわ。
結界主は貴方ですか。探す手間が省けましたわね」
愛用している両刃の剣を虚空から引き抜いて目を閉じる。
結界主を屠りその座を奪い取った。
虚言・
日本第3位。
剣王・プリンスブレード
互いに構えを取る。
『ご武運を』
⚪︎⚪︎⚪︎魔法少女 視点 ⚪︎⚪︎⚪︎
きーん!かーん!って!
「おぉ〜!!なんだかワクワクです!!
耳がいーって感じです!
お腹が震えています!!」
「・・・・・・誰か戦ってるのかな。魔物が必要なんだよね。行くの?」
戦い!
つまり!!
魔法少女が頑張ってます!!!
お腹に力を込めて!耳にも力を込めて!
魔力を感じる様にぃぃいい!!
ふんぬぅぅぅうううう!!!
「はっ!プリンちゃんです!!!・・・・・・およ?」
「プリンちゃん?ドールの知り合い?」
「はい!腕を斬られた仲です!」
「え!?う、腕を切られた!?」
「はいっ!!!
でも!ワタシは最強ですから!!!
許してます!!!!」
「いやどういう事!?。許すって何?え、じゃあその腕どうしたの?」
「こう、パッと移動したらスッて治りました!!!
魔法少女は最強です!
うぅ〜ん。プリンちゃんが戦ってるマモノが良さそうな感じです!
絶対美味しいですよ!」
きっとモニョさんみたいな味わいのはずです!!!
ぐぐぅ〜
お腹が減って来ました!!!
「出発ですっ!!!」
⚪︎⚪︎⚪︎
「後少しです!!!
あ、ねーちゃんさんは大丈夫ですか?」
「あー。そうだね。あんまり離れたくないけど流石に魔物と戦うなら離しときたいか。
わかった。ここに隠しておこうかな」
おぉ〜!
沢山魔力を使って更にねーちゃんさんが固まって地面に埋まりました!
カチカチです!!
「ではっ!いざ!
・・・・・・ほよ」
視界が回ってます!
身体が吹き飛ばされました!!
急です!
ピンチです!!
「およよよ〜〜!!」
身体がくるくるです!
顔と身体が別で動いてます!!!
不思議っ!!!
「っ!ドール!!!」
「おっととっととと、
あー!!!!身体が崖に落ちました!!!!」
「いや、なんでしゃべれんの!?!?」
魔法少女ですから!!!
「おーーー!なんだか強い魔力がやって来ます!!
来ました!!!」
「う、」
「あーー!!」
フロストストリートも吹っ飛んでいきました!!!!
誰か来ました!
でも!!
首だけではなんにもわかりません!!!
地面に顔がくっついています!
わっ、口の中に土が!!
ぺっ!!!
「ふぅ。やっと魔法解除出来た〜!
マジで、あれ幻覚の自己世界だったとか。
ないわ~、真に受けたわたしはアホかと。
さっさとあの女を探し出して支部に引き渡・・・・・・。
ひぃ!?首!?!?
人っ!?魔物じゃなかったの!?!?
やばっ
待って今戻すから」
「ほよ?」
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