第18話 続・結界内偵察作戦

「うん。これくらいで調査は大丈夫かな。

みんなお疲れー!」


「思ったより戦闘がありましたね」


「それ〜!疲れた〜」


調査という事もあり山奥には行かない。


え?

そんなに強いならわたし1人で攻略できるって?

それはそう。


だけどね。

それじゃダメ。

無数にある結界。毎日起こる揺らぎ。これら全てをわたしが片付けられる訳ないし。

 

だから、後身を育て無いといけない。

わたしもそうだったから。


「何度か見ましたが、相変わらず先輩が何してるかは分かりませんでした」


「どうよ。凄いでしょ?

ふふん。わたしにかかれば倒せない敵なんて居ないんだから」


最初の懐疑の目は何処へやら。

消失マジックみたいな私の戦闘に慣れてきた後輩達の眼差しに羨望が!


「魔法である事は確かなのですが、魔法を行使した後に残存する魔力を感じないのは一体どういう技術なのでしょう?

出来れば教えて頂きたいです」


「わたしも〜!ワタシの魔法、効率悪くてさ」


「そう?思ってるより難しくは無いよ?

みんな力を込めすぎなんだよね。

適量っていうかさ」


沢山の魔力使ったら魔法の威力が上がるのは当然の事。

でもそれだけが技術じゃ無い。

少ない魔力でもパフォーマンスが常から下回らない。そんな練習もしないといけない。


さっきこの子達が「疲れた」って言ったのもそれが原因かな。

魔法少女って実際の体力より魔力のが大事だし。

そして今日みたいに結界は逃げ場が無いから一撃高火力より継戦能力が求められるんだ。


「適量ですか・・・・・・。

あれ?魔力って勝手に魔法に吸われませんか?」


「そう!そこが技術よ!

戦闘ってなると、どうしても身体が強張っちゃうでしょ?

それに早く魔物を倒さないとこっちがやられるし。

そんなこんなで、勝手に吸われるって認識の魔力に更に魔力を注いじゃう。

だからこそ!魔力を使う事自体に慣れる必要があるんだよね」


「なるほど。確かに倒す事とか周囲への被害などでそこまで思考が回ってませんでした。

ありがとうございます。

・・・・・・流石先輩ですね」


どや。

コレでも魔法少女歴は長いからね。


でも魔法少女ってそれぞれ能力が違うから、本格的に教えるってなったらそれなりに時間かかるけど。


「そろそろ結界が見えて来るかな。

ちゃんと報告書くんだよ〜」


「はい」


おぉ。

びっくりするほど素直。

なんなら少し笑顔まである。




そうしてわたし達はへ向かった。




⚪︎⚪︎⚪︎




「結構距離あったね」


山登りをして足がかな


ふぅ。


わたしを先頭に、ツンツン系後輩から真面目尊敬系後輩に進化したスウィート。

そして他の子達が続く。


「ですね。・・・・・・やっと山頂ですか。

それほど離れていないと思いましたが、戦闘があると距離感が測りずらいですね」


「そうだね・・・・・・」


あぁぁ~、脚が疲れたぁ~~


あれ?


私達が来たのってふもとだよね。

山頂だっけ?


まぁ。良いか。


「・・・・・・あの、先輩」


スウィートが少し大きな声で私を呼び止めた。


何かあったのかな。


顔、身体を動かし振り返る。




「なに、っ!」


魔力を極小で解放っ!!!

わたしの時間は世界から離され前へ進む。


魔法の発動と同時に地面を蹴り、斜めになる身体を回し着地。


「スウィート!?」


「・・・・・・」


「いやまぁ話せないよね!私が速いんだからっ!!!」


スウィートの手に握られているのは、彼女の武器であるケーキナイフ。

なんとちゃんと先端に魔力がぎっしり詰め込まれており、尖れた刃が私の立っていたいた位置に置かれている。


「他の子もなんか武器構えてるし!?

・・・・・・私がこの子達の魔力に気が付かなかった?

いや、それは無い。実際直前まで魔力は無かった」


今回参加した6人の能力は把握している。

このメンツに精神操作系はいない。


だったら結界主?

結界自体が?

いつから?


「落ち着け〜、私。

ふぅ・・・・・・」


急な魔法発動はちょっとキツかった。


深呼吸。コレ大事。

幸い時間は沢山ある。




耳元を通る風切り音。




「った!頬から血出たじゃん!」


「よぉ。ロスト・タイム」


木々の間から出てきたのは1人の女性と数人の子供達。

出て来たというより、そこに居た。と言う方が正しいか。


それに。

女性は動いているけど、子供達は動いていない。

この女はわたしの速度に追いついてる。

この女だけが特殊?

魔法か。魔道具か。


「それで?君達は誰かな。

友好的って訳はないよね?

作戦に関わる魔法少女は全員覚えたはずなんだけど」




「アタシらは紫炎の魔女会って名だぁ。魔法少女崩れって方がわかりやすいか?」




「なーる。で?なんで君は動けてるのかなぁ」


並のSSSですら私の速度には追いつけない。

3位のうきん1位ばけものがそれぞれデメリットを抱えてやっと追いつく速度だ。


でも、追いつけるだけはわたしの優位は変わらない。

ただ動けるだけで攻略が出来るほどわたしの魔法は甘くない。




一緒に来た魔法少女達は動く気配は・・・・・・無さそう。

なら。

魔法の条件を変え、彼女達を対象外へ。

わたしの時間から外された魔法少女は背景になる。

これでどれだけ暴れても彼女達を傷付ける事は無くなった。


この女が例え過去に名を遺した魔法少女だろうと、最新鋭の魔道具を使っていようと関係ない。

どうあれ、もう何段階か上げれば着いて来れなくなる。


「そりゃよ。おめぇのちゃちな魔法が破られたってこったろぉが」


は?


「よしきた。かかってこいよ

刻鵠わたしの


「辞めときなぁ!」


目の前にのは、女性?

私服だ。

痩せている?

魔法少女ではなさそう。

現れた原理は?

それよりっ。中毒疹ちゅうどくしん


魔力中毒!!!


「・・・・・・」


「魔力のねぇ人間は結界内ではそう長く持たねぇな。その上、自己世界なんつぅ魔力の塊なんざ浴びた日にゃ一瞬でするぜ?

ま、お前の魔法はデフォで自己世界みたいなもんだがなぁ」


全力を出したいけど一般人が居るなら話が変わる。

わたしの速度に追いついてる女の仕掛けが謎。

女が連れている少女達は本当に動けないのか。動かないのか。

依然として守るべき魔法少女達が敵対した状態。


わたし1人なら逃げる事は出来る。

だけど、それは誰も失ったりしないと。守りきると誓ったわたしに反する行いだ。


はぁ。

優位はあっちかな。


「・・・・・・で?何を求めてんの?ていうか誰?」




「はっ。名乗る阿呆が何処に居るってんだよ。

だがまぁ、目的は教えてやるよ。

アタシたちの目的は今も昔も変わらねぇ。魔法少女を作ることさ。

だがなぁ、あと少しってとこまで来たんだが、手詰まりになったんだわ

・・・・・・。

必要な魔法少女は集めた。必要な条件は揃えた。必要な願いもある。

ねぇのは軌跡だよ。新たに軌跡を紡ぐなら強大な魔物まほうが必要になる。

だからまぁ。ちぃと魔物の糧になってくれや」

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