第1話

「千夜子、結婚しよう。」


「……もうちょっと待ってくれる?」




心の整理がつかないとか、そういうのじゃないけれど。




「……あずきさんは、私よりいっつも2年先にいるから」


「まぁな。」


「だから私が大学卒業して……あずきさんに追いついてからがいい、です。」


「……分かった。待ってる。」




目を逸らしてそう答えた貴方の顔はどこか赤くて。



あずきさんは少し意地悪なところもあるけれど。



こういう優しさに触れる度に、ああ、この人を選んでよかったなって。



心から幸せだなって思うんだ。

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