合コンしたら高校時代突然居なくなった幼馴染みと再会した

えいじ

偶然の再会

俺の名前は西川健人。

同僚に誘われ、気の進まないまま参加した合コン。その場で、俺は思いもよらぬ再会を果たすことになる。




「なぁ!健人、今日合コンあるんだけどさ、来てくれないか?メンバーの1人がこれなくなっちゃってさ」

同僚がにやにやしながら声をかけてくる。


「合コン?やだよっ。俺、苦手なんだよ」

健人は即座に拒否した。


「まぁそう言わずにさ!今日の合コン、めっちゃ美人が来るっていうらしいからさ!行こうぜ!良い出会いがあるかもしれないから!なっ、頼むよ!」

「無理だっての」


そう突っぱねたはずが、同僚の山本はしたたかだった。


「お!この資料コピーするんだろう!俺やっとくぜ」

「…あ、おい!」

「はい出来た!おっと、この売上データもやっとくぜ!」

「ちょっと待てって!」

「はい完了!これ貸しな。ここまでしといて、まさか何もしないなんてないよなー」


「お前な――ったく、分かったよ!行けばいいんだろ、行けば」

「へへっ、そうこなくっちゃ」

「まったく…」


結局、押し切られる形で健人はその夜の席に向かうことになった。




賑やかな店内。個室には既に女性たちが集まり、談笑が始まっていた。


「あれ、そっち1人足りないね」

山本が人数に気づき首を傾げる。


「ごめんなさい。遅れちゃうみたいです。なので構わず始めちゃいましょう」

一人の女性が答え、すぐに乾杯が行われた。


「そっか!了解。それじゃあ皆さん今日は楽しんでいきましょう、乾杯!」

「乾杯!」


グラスがぶつかり、場は一気に打ち解けていく。


「皆、趣味はなに?」と山本が切り出すと、隣の女性が楽しそうに答えた。


「えー、私は美味しいものを食べることかな。特にケーキとか」

「ちょっとあんた、最近太ってきたんじゃないの?」

「やだもう、ここで言わないでよ、そんなこと」

「あははは、美味しそうにごはん食べる子は好きだよ」

「ほんとですか?嬉しいな」


朗らかな笑い声が響く。そこで別の女性が口を開いた。


「でも千里はほんと凄くスタイルいいよね」

「そうだよね。羨ましいよね」

「千里って?」

山本が聞き返す。


「あ、これから来る子です」

「そうなんだ」


千里?今、千里って言ったか?

健人の胸がざわめく。まさか、そんな偶然あるはずがない――そう思った瞬間。


「ごめん、遅れた」


店の入り口に現れた女性を見た瞬間、健人は息を呑んだ。


「え?千里!」

思わず声が漏れる。


「健人?なんでここにいるの?」

驚いた表情で彼女――赤堀千里が立ち尽くす。


「お前こそ!どうして!」

「私は誘われて来たのよ。健人は?」

「俺も、そうだけど…」


やりとりを見ていた山本が目を丸くする。

「え?何、二人知り合い?」


「…あぁ、高校の同級生」

健人は努めて平静を装った。


「え?マジで!?すげぇ偶然だな!」

「そう…だな」


健人の胸の奥は騒がしかった。十年ぶりの再会。伝えられなかった想いが、再び目の前に立っている。


千里は、ほんの一瞬、黙り込んだまま健人を見つめていた。



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