「京都府中埜宮市児童連続行方不明事件」に関するスクラップブック

ネット記事の画面コピー② 2002年8月6日

　夏休みの始まった2002年7月末より、京都府中埜宮市では児童の失踪事件が続いている。7月23日に行方不明になったA子さん、7月30日に行方不明になったB美さん、8月5日に行方不明となったEさん――……。

　警察関係者の話では、消息を絶った児童らはいずれも中埜宮小学校の3年3組－つまり同じクラスに通っているという。このことから、これら一連の失踪事件には何かしらの関連があるとして捜査を進めているとのことだ。

　聞き込みによると、周辺地域には不安が広がり、夏休みにもかかわらず大半の子どもたちは家の中に留まることを余儀なくされているようだ。パトロールの強化が為さているものの、中埜宮学区内では恒例のラジオ体操は中止、学内のプール開放も当分見合わせとなり、重苦しい空気が町全体を包んでいた。

　本件を受け筆者は、京都府中埜宮市へ急行。現地での聞き取り取材を進めることにした。

　現地にて聞き込み調査を進め、まず初めに話を伺えたのは、A子さんご一家の隣人である女性である。以下にインタビューの記録を残す。

――今回はインタビューご協力ありがとうございます。ではまず、A子さんご一家への印象をお伺いできますか？

　普通に仲のいいご家族やと思います。……それが、こんなことになってもうて。A子ちゃんとは朝よく顔合わせるんです。私が庭の手入れする時間と、登校時間が重なっててねえ。ホラ、表ンとこのね。それで、A子ちゃんのお父さんお母さんとも、挨拶とか、会話くらいはしてたんよ。旅行帰りにお土産貰ったり、私の方もお野菜のお裾分けしたりね。

――そうすると、A子さんが行方不明になった日のご様子なんかも見られてたんでしょうか？

　ええ、ええ。あの日はもう、大変でした。ホラ、あの日ィ台風が近づいてて、早めに買い物済ませたり、雨戸閉めたりして、バタバタしてたんです。夕時に、庭の鉢植えなんか引き上げてて、そしたらそこにA子ちゃんとこのお父さんが血相変えて来やはって、A子見てへんか、言うて。

　それで、ちょっとお昼頃からバタバタしてたもんで、見てへんよ言うたら、なんやお昼から帰ってきてへんって。そらかなんいうて、ウチと……ほんでウチの主人も走らせて、わかる限り近場は探したんです。ね、夏休み入ったいうんもあって、まあ、遠出したんかもしれんって。最初はそう……正直、大したことやない思てたんです。ただ、ホラ、へびのみさんが悪ゥなってたでしょ？ あ、そう、蛇呑川。せやし、河原におったら怖いなあくらいは話してて……。

――けれど、見つからなかった？

　そう、あかんかった。町内の大きい公園も見たし、ちょっとはずれにある寂れた公園も見た。子らのよォ行くへびのみさんの河原も見に行った。一応、A子ちゃんのお母さんは【黒塗り（二文字ほど？）】にも確認したみたいやけど、空振り。A子ちゃんと仲良い女の子の家も声掛けたけどなんも知らんって。

　最初、バラバラで探しに行って、ほんでみんなでA子ちゃんの家集まって……あれは辛かった。A子ちゃんの見つからんっていう情報ばっかりちょっとずつ集まっていって、ウチと主人も、いい加減能天気な話もできんくなって。行方不明になったんやって、言いはせんかったけど、頭の中に浮かんでどうしようもうない。

――その後は、どうされたんでしょうか？

　……A子ちゃんのお父さんに、お隣さんやからってこれ以上巻き込まれんって言われて、帰りました。ほんで……詳しいことは聞かれんかったけど、暫くして、正式に行方不明になったって、テレビで見ました。

――ありがとうございます。次の、B美ちゃんの事件については？

　B美ちゃんは……そうやねえ、A子ちゃんとよォ遊んでる子っていう印象はあるんやけど、家もちょっと遠いからなあ。ああ、でも、その日の朝やったかなあ、B美ちゃんのお兄ちゃんが来てね、B美見てませんか、朝からおらんのです言うて。見てへんよって言うたけど、ホラ、A子ちゃんがあんなんあった後やろ？ ちょっと私も散歩がてら周り探したり、してみたんやけどねえ。　

　ほんでまた、ちょっとしたら行方不明になった言うて、新聞で読んで。

――それから……その、8月2日の事故については、なにか？

　ええ。……ええ、警察の人も来やはってね。最初何事か思たんです。C子さんとD男さんの家はお隣で間違いないかって。そらそうです、って言いました。ほんで……ちょっとだけ、もしかしたらA子ちゃん見つかったんやろか思たんです。でもその日はそれきりで……。

　……事故のことで、まだご遺体が帰ってへんって、C子さんとこのお姉さんがねえ、今はお家にいらっしゃるみたいです。何かお手伝いできることがあったらなんでも言うて下さいねって、丁度さっきお話ししてきたところなんです。

――そうでしたか、ありがとうございます。他に……何か、気になっていることなどはありますか？

　いいえ。……でも、ただ、そうやね。この地域に、三人も連れていった誘拐犯？ みたいなのがいるんやって、思うのも辛いねえ。早う解決したらいいんやけど。

（付記：コピー右端に「注視」と叔父のものと思われるメモ書きがありました）