第10話 「軸」の話
何事にも「軸」って必要だと思う。小説執筆における私の「軸」は、「誰かの心に届く物語を書くこと」だ。
今小説家という職業は、プロとアマの境界線がかなり曖昧だと思う。中途半端なプロ作家の作品よりはSNSのフォロワーが多いアマチュアの作品の方が読まれているのだろうし、プロ作家側も、文学フリマなどのイベントに参加して自作や同人誌を手売りしている。
その是非はひとまず横に置いておいて、少なくとも、「私は(プロ)作家だから作品だけ書いていればいいのよ」というスタンスでは、なかなか読者を獲得できないというのが、プロ・アマ問わず創作界隈の現状ではないだろうか。
現に私もSNSをやっているし、そこでの交流きっかけで作品を読んでくれる人も多い。それを悪いことだとも思わない。私は元々同人活動から小説執筆をスタートしているから、つながりのある人の作品に興味をもって読むのは当たり前のこと、というか。そこに対する潔癖さはあまりないし、大人になっても学生時代の文芸部みたいな交流ができて楽しいなーと素直に思っている(もちろん、無理強いはしない・されないが大前提だけども)。
ただ一方、公募勢=プロ作家を目指す者として、「作品を書くこと」をないがしろにしてはいけないな、というのは、常に肝に銘じていることでもある。
作品を読んでもらうためには、宣伝も交流も大事。売り込みも大事。綺麗ごとばかりじゃやっていけない現実があることも重々承知している。
だけど私が目指しているのは、小学校~高校生くらいまでの多感な時期の自分を支えてくれたような、瑞々しくエネルギーにあふれた小説が書けるプロ作家なのだ。
そのためにはやはり、まずは「小説を書くこと」が作家活動のど真ん中になければいけないと思う。読んでもらえたら嬉しいけど、読まれなくてもちゃんと書くこと。過去作をいつまでもこすらず新作を書き、拙くてもいいから、常に新しいことに挑戦して作品の幅を広げること。
ウェブでの連載って、わりとしんどかったりする。毎日、毎週、日常生活の合間を縫って必死に書いて投稿しても、最新話のPVが0とか普通にある。完結ブーストがあるってわかっていても、「うわー、恥ずかしい! やめちゃいたいっ!」って衝動に駆られる時も正直ある。
だけど、それでも書き続けられる人じゃなきゃいけないな、といつも思っている。PV0でも、いつか読んでくれる誰かのために。PVが1でもついているなら、そのたった一人のために。
プロ作家志望なんだから、目の前の執筆に必死になれる自分でいたい。読者の数じゃなくて、たった一人でもいいから、誰かの心に深く届く作品を書きたい。
人気とか宣伝とか交流は、自分にとっては全部、作品ありきの活動なんだということを忘れちゃいけないと思う。PVのつかなさを気にして執筆が進まないとか、不満ばかりもらすようになるとか、そういう本末転倒な事態だけは避けなければ。
……というわけで最近は、ストックなしで始めた毎日連載の執筆を頑張っています笑
ウェブ連載の経験値もたまってきて、しんどいことにはしんどいんですが、そのしんどさにも慣れてきました。日々日々の更新なので正直文章がガタついてしまうこともあり、申し訳ないなと思いつつ、それでも追ってくださる読者さんに感謝しながら頑張って執筆しています。
連載終了は来年一月半ば予定ですが、できれば執筆自体はもう少しペースアップして、年内に初稿を終わらせたい。
初稿は嫌いだけど、初稿を頑張っている自分のことは好きだなあと思います。
※大丈夫だと思いますが、一応注釈を。今回の話はあくまで私の「軸」の話であって、他の方の活動や執筆のスタイル、考え方を否定する意図は一切ありません。執筆や公募活動の目的は人によって様々ですし、創作者の数だけ、人それぞれの「軸」があって当然です。
そのあたり、悪しからず!
次の更新予定
毎週 金曜日 22:00 予定は変更される可能性があります
BL公募勢の日常 瀬名那奈世 @obobtf
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。BL公募勢の日常の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます