あとがき

◇◆◇


『泡沫』を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


本作は、数百年を生きるエルフの少年と、

残された時間がわずか一年の少女の出会いを描いた物語です。


人と人との「寿命の差」や「儚さ」というテーマは、

ファンタジー世界であっても現実と変わらない、

痛みや愛しさを伝えてくれるものだと思います。


エルフの少年は、長い時間を孤独に過ごすなかで少女に出会い、

ようやく「心が動く瞬間」を知りました。


しかしその喜びは、少女の余命という現実によって、やがて消えてしまう。


まるで水面の泡のように、一瞬きらめき、弾けて消える。


けれど、その短い時間で紡がれた絆や想いは、

決して消えることはなく、エルフの心の奥深くで生き続けていくはずです。


私は、この物語を書きながら「出会いの奇跡」と

「別れの必然」について何度も考えました。


儚いからこそ美しく、短いからこそ尊い。

――それは、まさしく「泡沫」のようなものです。


最後に登場した一輪のスイートピーは、少女の残した希望であり、

約束であり、そして少年がこれからも歩んでいくための灯火です。


いつか彼が再び誰かと出会うとき、

その花が彼の心を守り続けるのだろうと信じています。


本作を通じて、あなた自身の心の中にある、

大切な人との時間を思い出していただけたなら、これほど嬉しいことはありません。


 ――読んでくださったすべての方に、心からの感謝を込めて。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

泡沫 αβーアルファベーター @alphado

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画