第2話 楽しい時間はあっという間

そうだね、少しベンチで休憩しようか。

(近くのベンチに2人で移動し、少し息をつく。数分してから、すぐ横の自動販売機の前に立つ。)

あいな、何が飲みたい?


(ベンチに座りながら、木陰からの涼しい風を感じて髪を耳にかける。自動販売機の明かりに照らされて顔がほんのり輝き)

んーとね、冷たいお水がいいな。喉乾いちゃった。


おっけー。

(ズボンから小銭を取り出し、冷えた水を1本買う。キャップを開けると、あいなに差し出す。)

1本まるまるは多いだろうから、お兄ちゃんと半分こしようか。

先にあいな飲んでいいよ。


(ペットボトルを受け取り、嬉しそうに微笑みながら一口飲む。冷たい水が喉を潤していく感覚にホッとした表情を見せる)

ありがとう、お兄ちゃん。すごく美味しい...。

半分こ、いいね。お兄ちゃんも飲んで。


うん、ありがとう。

(あいなの飲んだ水を、俺も飲む。冷たくて、なんだかいつもよりおいしい気がした。また後で飲むだろうと半分ぐらい残して、手に持つ。)

せっかくだし、ブランコでもしていこっか?


(ブランコの提案に目を輝かせて)

ブランコしたい!お兄ちゃんと一緒に乗るの楽しそう。

ちょっと休憩したから元気出てきたよ。


よし、じゃあ行こっか。

(ペットボトルとは逆の手であいなと手を繋ぐ。ブランコは、ちょうど2つ空いていた。)

ブランコなんていつぶりだろう。

(そう言いながら、子供用の低いブランコに乗る。)


(ブランコに向かう途中、ワンピースの裾を軽く持ち上げながら嬉しそうに小走りする。ブランコに乗れることが嬉しくて、頬が自然と緩む)

お兄ちゃんとブランコ久しぶり!小さい頃よく来たよね。

こうやって二人で並んで乗るの、なんだかドキドキする...


うん、久しぶりだね。

(子供用のブランコは、思ったより低くて、あまり上手く漕げない。俺も随分、身長伸びたんだなぁ。ふと思いつき、ゆっくりブランコを降りる。)

あいな、お兄ちゃんが背中押してあげようか?


(ブランコに乗って揺られながら、風を感じて気持ちよさそうな表情を浮かべる。少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら兄の方を見る)

うん、押してほしい!

お兄ちゃんの力で高く漕ぎたいな。優しく押してね?


分かった。よし、いくよ~

(タイミングを合わせて、あいなの背中を優しく押す。先ほどよりも高くブランコが漕がれる。)


(風を切って高く上がるブランコに乗って、驚きと喜びで目を大きく見開く。ワンピースが風になびき、髪が額や頬に当たるのも気にせず両手を広げて)

わぁ~!すごい高い!お兄ちゃん、ありがとう!もっと押して~


よーし、もっといくよ~!

(更にブランコは上に上がる。なんだかとても懐かしい気分になった。最近は大学生活が忙しく、あまりあいなに構ってあげられていなかった。これからは、たまにはちゃんと遊んであげよう。そんなことを考えながら数分、そろそろ疲れてきた。)

あいな、お兄ちゃん疲れちゃった、1回休憩!


(ブランコから降りて地面に足をつけ、まだ興奮冷めやらぬ様子で頬を紅潮させながら)

お兄ちゃん、すごかった!こんな高く漕げたの初めてかも。

少し休憩しよう、私もちょっと疲れた。


ね、すごかったよ!

(手を繋いで再びベンチに戻ると、残していた水のペットボトルをあいなに差し出す。)

はい、お水飲んで。


(ペットボトルを受け取り、冷たい水を美味しそうに飲みながら頬を緩める。夕暮れ時の柔らかな光が公園を橙色に染め始めている)

ありがとう、お兄ちゃん。

喉乾いてたから助かる〜。ねぇ、もう少しだけ公園にいてもいい?


うん、いいよ。でも、遅くなるとお母さんに怒られちゃうから、ちょっとだけね。

(あいなのすぐ横に座り、額にかいた汗を拭ってあげる。そのまま乱れた長い髪の毛を軽く整え、あいなの頭を優しく撫でる。)

タオル、持ってくればよかったね。


(髪を撫でられて気持ちよさそうに目を細め、夕焼けに照らされた公園の景色を眺めながら)

あとちょっとだけなら大丈夫だよね。お兄ちゃんと一緒にいると楽しくて。

タオルは次来るとき忘れずに持ってこようね。


お兄ちゃんも楽しいよ。

(あいなにそっと笑いかける。その後少しだけ鉄棒やジャングルジムで遊ぶと、17時の町内アナウンスが流れる。)

あ、17時だ。あいな、そろそろ帰ろう。


(夕焼けに照らされた公園で、兄の言葉に少し寂しそうな表情を浮かべながらも素直に頷く。ワンピースの裾を軽く握りしめ、名残惜しそうに周りを見渡す)

うん、そうだね...。楽しかったけど、もう帰らなきゃだね。

(立ち上がりながら服の埃を払う)

お兄ちゃん、今日はありがとう。


こちらこそありがとう。楽しかったよ。

(家に帰ろうとまた手を繋ごうとするが、あるアイデアを思いつく。)

あ、あいな。久しぶりにおんぶしてあげよっか。

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夢に溺れる禁欲を アンサング @agakubonnjinn

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