休日
男の子として振る舞うための学び。
勉強。宿題。
外では少年・ハナとして、家の中でもハナとして日課を済ませた後、プリンセス・フローラとしての生活。
日課は、進んで取り組めたかというとそんなことはなかった。プリンセスとしての時間が過ごせる。そうでなければ取り組もうとする意識さえ出なかったと思う。
でも、あの凄惨な日々に比べれば、幸せだった。
休日の過ごし方も、以前とは大きく変わった。それまでは、お母様の着せ替え人形として過ごしていたが、ほとんどが勉強と家事に変わった。
「ママはとても助かってるけど...ハナはまだ子供でしょ?お友達との遊びや、欲しいものはいいの?」
「別にいいのです...いや、別にいいよ、お母さん。こっちのほうがやってて楽しいし、欲しいものならもうあるから」
今考えると、歳不相応な可愛げのない子供だったと思う。でも学校と家以外に居場所のないぼくに友達と呼べる存在はいなかったし、欲しいものなら、平穏な日々、プリンセスとして過ごす時間があったので、それ以上を求めるという発想自体、当時のぼくには無かった。
小学校を卒業する頃には、既に学業成績は優秀、体育のテストでも頭一つ抜けるほどの身体能力を持っていた。
それでも誰かと友達として過ごせる時間は、思い返してもほとんどない。
ぼくはそれでもいいと思っていた。
それが、後で大きな代償を払ってしまうことになるとは、想像すらしたことがなかった。
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