配信しか出来ないと追放された俺、迷惑系エロ配信者になってダンジョンで【通信】スキルで好き勝手する事にしました
十凪高志
第1話 美少女インフルエンサー、絶望のスパチャ配信
「いやああああーーーーーっ!!」
ダンジョンに、少女の悲鳴がこだまする。
彼女の名は、
このダンジョン大探索時代の日本において、登録者数100万を抱える有名美少女インフルエンサーだ。
彼女は同じ事務所の探索者と共に新宿ダンジョンの中層第五階へと趣き、そして――イレギュラーモンスターに遭遇した。
イレギュラーモンスター。本来あり得ない階層に出没したり、通常より強力な力を持ったりする異常個体だ。
瀬里奈の護衛探索者は彼女を守ろうと奮闘したが、実にあっさりと――全滅した。
そして瀬里奈一人だけになった時に、俺達が現れ、イレギュラーモンスターを打倒し、彼女を救出した。
その一部始終が、彼女たちが使っていたカメラによって生配信されていた。
そう――
「はーい、というわけでこれから! 御岬瀬里奈ちゃんの一難去ってまた一難配信を始めまーす☆」
俺の仲間である、金髪ツインテールの少女――アメリア・スミスが、満面の笑みでカメラに向かって手を振る。
そして俺、
ちなみに当然、どちらも偽名である。本名は――まあ、後でいいだろう。
『なんだこれ』
『何が起きているんだ』
『え? どういう状況?』
『イレギュラーモンスターに瀬里奈ちゃんが襲われてそれで……』
『助けが来たのはわかるけど』
『一難去ってって……』
『つか瀬里奈ちゃん離せよ、もう終わったんだし』
『何でお前らまだいるんだよ』
『通報するぞ』
『いやでも待ってくれ、あのイレギュラーモンスターを瞬殺した人だろ?』
『ああ、確かに』
「はい! というわけでですね! この可愛い瀬里奈ちゃんを助けることができたわけで、とてもラッキーで私達とてもみ嬉しいので!
彼女の安否は! 瀬里奈ちゃんのチャンネルのリスナーたちにかかっていまーす!」
アメリアが再び満面の笑みで叫ぶ。
『は?』
『何?』
『安否?』
『え?』
『どういうこと?』
「ふふふそれはですね! これからみなさんにスパチャしてもらいまーす!
スパチャを誰もやらなかったら、瀬里奈ちゃんはこのまま解放されます!
だけど誰かがスパチャをしたら……服を脱がせていきます!
スパチャ十万円に到達したらー、瀬里奈ちゃんの誰も見た事のない! おっぱいが! 生配信!
そして額が高くなればなるほど……すごいことになるぞー、いえー!
安心しろ、彼女を守りたいなら誰も一銭もスパチャしなければいいだけです!
あなたたちならできる! 君たちなら出来る! さあ戦え瀬里奈ちゃんのユニコーンたちぃ!!」
アメリアがカメラに向かって、高らかに宣言する。
『何言ってんだ』
『どういうことだ』
『お前誰だよ』
『は?』
『意味わからん』
「というわけで今から一分で十万円にスパチャ到達しなかったら! 瀬里奈ちゃんを無事に帰してあげます!
さあ、リスナーさん! 瀬里奈ちゃんを守って見せてねー!」
そして――配信は、加速していく。
コメント欄は、怒号と混乱で埋め尽くされる。
『死ね』
『お前ら顔覚えたからな』
『すぐにそっちにいってぶっ殺してやるお前ら時間かせいでくれ俺探索者だし』
『殺すぞこのブス』
『誰もスパチャするなよマジでしたら殺すぞ』
『誰がこんな奴にスパチャするかよ』
『本当に誰もするなよ』
『殺すぞ』
だが、アメリアは意に介さない。煽る。
そんな時だった。
『¥10000』
『¥10000』
『¥20000』
三つのコメントが表示された。
アメリアが満面の笑みで言う。
「あー! 二人の方に一万円と二万円のスパチャです! 合計で四万円!
皆さん、よくやったわね!」
『お前ら』
『おい』
『なんで払ってるんだよ』
『裏切り者どもが』
『信じられない』
「さて! これで瀬里奈ちゃんが無事に帰れる事はなくなりましたが……まだ間に合うぞユニコーンども! 今なら下着姿だけでセーフだー!
では黒井さん、剥いじゃってくださーい!」
アメリアが、瀬里奈の服を指差す。
「了解した」
俺は、瀬里奈の服に手をかける。悪いな。
「……ひっ」
瀬里奈が、小さく悲鳴を上げる。
だが、抵抗はしない。
抵抗すれば、どうなるかわかっているからだ。何しろ俺たちは……あのイレギュラーモンスターを倒したのだ。
「それでは瀬里奈ちゃん! おっぱいが見えたらまた悲鳴をあげてくださいねー!」
アメリアが、瀬里奈に言い放つ。
そして――俺は、瀬里奈の服をゆっくりと脱がし始めた。
まずは、上着を脱がせる。
そして、シャツのボタンを一つずつ外していく。
「い、いや……」
瀬里奈が、涙目で呟く。
そして、彼女の下着があらわになった。
「いやああ……」
瀬里奈が、再び悲鳴を上げる。
だが――やはり抵抗はできない。
その表情が、俺に罪悪感を沸かせると同時に、ひどく興奮させる。
「さあ、瀬里奈ちゃん! みんな見てるよ!」
アメリアが、瀬里奈の顎を掴み、カメラに向かって顔を向けさせる。
「……お願いします……許してください……」
瀬里奈が、涙ながらに懇願する。
「ダメだよー? だって、スパチャしてくれた人がいるんだもん。恨むなら君の忠実なるユニコーン騎士たちを恨みなさい」
アメリアが、悪魔のように微笑む。
『やめろ』
『マジでやばいって』
『誰か止めろよ』
『通報する』
『誰か』
『やめてください』
『お願いします』
コメント欄は、絶望に染まる。
だが――止まらない。
『¥5000』
『¥10000』
『¥10000』
『¥10000』
さらに四人のユーザーがスパチャを入れた。
「はーい! 五万円突破です! 皆さんありがとうねー!」
アメリアが、嬉しそうに手を振る。
『ふざけんな』
『マジで終わってる』
『こいつら人間じゃない』
『最低』
『クズ』
『地獄に落ちろ』
『でも瀬里奈ちゃんのおっぱい見たいだろ』
『確かに』
『それはある』
『正直見たい』
そして――
『¥30000』
『¥50000』
『¥100000』
三人のユーザーが、それぞれ三万円、五万円、十万円をスパチャした。
「おおっと! ここでなんと一気に25万円突破! これは確定! ブラジャーという鉄壁の防御を突破だぁー!」
アメリアが、高らかに宣言する。
『うおおおおおお』
『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
『ついに来たか』
『ありがとうございます』
『感謝します』
『もう無理ひどすぎる』
『最高です』
『御岬瀬里奈のおっぱい!』
『神回確定』
コメント欄が、興奮で沸騰する。
「い、いやああああああ……」
瀬里奈が、再び悲鳴を上げる。
だが――抵抗はできない。
「ふふ……瀬里奈ちゃん、諦めなさい」
アメリアが、瀬里奈の耳元で囁く。
「そ、そんな……」
瀬里奈が、絶望的な表情で呟く。
「さあ、黒井さん! いよいよだよ!」
アメリアが、サムズアップを決めて俺に指示を出す。
「了解」
俺は、瀬里奈の背中に手を回し、ブラジャーのホックを外す。
「ひっ」
瀬里奈が、小さく悲鳴を上げる。
そして――ブラジャーを脱がした。
御岬瀬里奈の乳房が、初めて日の目を見た。
同時接続30万――それだけの視聴者の前で。
コメント欄が、爆発する。
『うおおおおおおおおおおおおおお!!!』
『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
『最高!』
『ありがとうございます!』
『ありがとうございます!』
『神回!』
『伝説!』
『一生忘れません!』
『これで生きていける!』
『素晴らしい!』
『感謝感激雨あられ!』
『一生ついて行きます!』
『尊い』
『これは至宝』
『本当にありがとう』
『ありがとう』
『ありがとう』
『ありがとう』
『●REC』
『¥20000』
『¥20000』
『¥20000』
『¥10000』
『¥5000』
コメント欄と同時に金額が入り続ける。
「さてさて〜! さらにスパチャ額が増えてますよ〜! 瀬里奈ちゃん、頑張ってね!」
アメリアが、瀬里奈の乳房を指差しながら言う。
「い、いやああ……」
瀬里奈が、涙を流しながら首を振る。
だが――抵抗はできない。
「次は何かな〜? ふふふ、楽しみだね! 瀬里奈ちゃん!」
アメリアが、瀬里奈に語りかける。
『楽しみ』
『今日ここにいてよかった』
『運営止めるなよ』
『瀬里奈ちゃんは死なずにすんで俺たちはいいものが見れて幸せ』
『誰も不幸にならない』
『素晴らしいWIN-WINの関係』
『次も見たい』
『最高』
『さすがプロ』
『瀬里奈ちゃんも喜んでるでしょ』
コメント欄は、狂気に満ちている。
もう誰も、この俺たちの暴挙を止めようというコメントを書かない。誰も、瀬里奈を助けようとしない。この惨劇と情欲に酔っている。
――なんともくだらなく、醜いと思う。
クズどもだ。どいつもこいつも変わらないな。
「さぁーてこの金額だと……次は瀬里奈ちゃんのおっぱいをいじりたおす配信か、それとも……下を脱がして、誰も見たことのない禁断の聖域を全国配信コースかどっちかなあー……アンケートとろっか!」
アメリアが、カメラに向かって言う。
「『おっぱいをいじりたおす』か『パンツを脱がす』か……どっちがいいかな?」
アメリアが、瀬里奈の乳房と下腹部を交互に指差しながら問いかける。
「い、いやああ……」
瀬里奈が、再び悲鳴を上げる。
だが――抵抗はできない。
そして――
アメリアが投票結果を告げる。
「さあ! アンケート結果が出ましたよ!」
アメリアが、高らかに宣言する。
「みんなの選択は――『パンツを脱がす』でしたー!!」
アメリアが、嬉しそうに手を叩く。
『うおおおおお!』
『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
『最高!』
『ありがとうございます!』
『神回!』
『伝説!』
『一生忘れません!』
『これで生きていける!』
『素晴らしい!』
『感謝感激雨あられ!』
『一生ついて行きます!』
『尊い』
『これは至宝』
『本当にありがとう』
『ありがとう』
『ありがとう』
『●REC』
『¥20000』
『¥20000』
『¥10000』
『¥5000』
コメント欄が、狂気で溢れる。
「い、いやあああああ!!」
瀬里奈が、再び悲鳴を上げる。
「ふふ……瀬里奈ちゃん、覚悟してね。黒井さん! いよいよだよ!」
アメリアの指示に、俺は従って瀬里奈のパンツに手をかけ、ゆっきりとおろしていく。カメラがその一部始終を記録する。
そして――
御岬瀬里奈の秘部が、完全に晒された。
同時接続は50万を超えた。
『うおお!!』
『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
『最高!』
『ありがとうございます!』
『ありがとうございます!』
『神回!』
『伝説!』
『一生忘れません!』
『これで生きていける!』
『素晴らしい!』
『感謝感激雨あられ!』
『一生ついて行きます!』
『尊い』
『これは至宝』
『本当にありがとう』
『ありがとう』
『ありがとう』
『●REC』
『¥20000』
『¥20000』
『¥10000』
『¥5000』
瀬里奈は、ただただ泣きじゃくるだけだった。
だが終わらない。スパチャの額は増えていく。増え続けていく。
視聴者たちが望んでいる。クズどもが求めている。
だから――
俺は笑みを浮かべた。
「さあ、次の額に到達した。次は――」
「い……いやああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
瀬里奈の絶叫が、ダンジョンに響いた。
◇
「倒れているでくのぼうさんたち、ハイポーションで治しておきましたよ――と、もう最後までいっちゃいましたか」
仲間の一人であるメガネの巨漢――というかデブ――が、瀬里奈の服を拾い上げながら言う。
彼の名は、山田。もちろん本名ではない。
彼は瀬里奈を守って倒れた探索者の治療をしていたのだ。別に俺たちは同業者殺しは趣味じゃない。助けられる命は助けないとな。
もっとも、彼らにとっては命をとりとめた現実の方が地獄だろうが。
何しろ、護衛対象を守れなかったのだから。可哀そうに。そう思うと、俺の口元に笑みが浮かんでしまう。彼らに恨みは無いのだけどな。
「ああ、最高の配信だったよ」
俺は、満足げに頷く。
「まさか、ここまでやってしまうとは思いませんでしたがね」
「まあ、仕方ないだろ。瀬里奈ちゃんのリスナーたちが求めてたんだから」
「それにしても……やりすぎじゃないですか?」
「かもな。でも、結果的には最高のコンテンツになった。それがすべてだ」
「あなたという人は……」
山田は、呆れたようにため息をつく。
「私の分も残しておいてくださいよ。あなたので汚れてしまってるじゃないですか」
「後ろはちゃんととっといたよ」
その言葉に、山田は笑みを浮かべる。
「それは重畳。楽しませてもらいますか。まだ時間はあるのでしょう?」
「ああ、あと一時間は持つだろ」
俺は言う。配信では言っていない、この俺のスキルによる効果のひとつだ。
「では……カメラはこっちですね」
そして山田はぐったりとした瀬里奈を抱きかかえ、カメラに向かって弄び始める。
「ううむ、これは……実に良いですねえ。綺麗なものが汚れるのを見るのが、私は大好きなんですよ」
山田は、満足げに言う。
「そうか」
俺は少し複雑な気分だけどな。確かに楽しかったが、瀬里奈本人に対して俺は敵意も悪意も復讐心も持ち合わせていなかったのだから、少しなんというか……まあいいか。
「いやー、スパチャ総額350万ですよ!」
アメリアが、嬉しそうに言う。
「瀬里奈ちゃんのユニコーンたちってもうユニコーンじゃなくてバイコーンでしょこれ! かわいそー。キミたちクズだよねー。あ、安心してね彼女はちゃんとここに放置していくから。近くにいる探索者たちー、やっちまうなら今だぜい。それじゃあねー」
アメリアが、カメラに向かって手を振る。
配信終了だ。
「しかし便利ですねえ。あなたのスキルは。何しろ運営がチャンネルやアカウントを停止しようとしても受け付けない、意味がない。
実に便利ですよ、【通信】スキルは。
あなたを追放したバカどもの気が知れません」
山田が言う。
そう、それが俺のスキルだ。俺がいればダンジョン配信はとても楽。通信費用もかからない――その程度のスキル、だと思っていた。
だが実際は、自分のチャンネル、アカウントどころか他人の配信にも俺のスキルは影響を及ぼす。
そして山田の言った通り、配信サイト運営者が何をしようとも受け付けない……といった事すら可能なのだ。
あの事故としか言いようのない配信を運営が停止しなかった理由がそれだ。停止できなかったのだ。
そして、俺のスキル発動中、その支配下にある配信のスパチャは俺たちの口座に振り込まれるという効果もある。
「あいつらも、当時の俺もこのスキルの真価を知らなかったからな」
俺は苦笑する。
「まあ、結果オーライです。おかげで我々はこうして楽しい事を出来ていますからね」
「全くだ。お前たちには本当に感謝してるよ」
俺は、山田に言う。
「さて、そろそろ行きましょうか」
山田が言う。
「そうだな。これ以上ここにいると危険だ」
俺のスキルの降下で人払いはしているが、それも無限ではない。
そして俺達は瀬里奈とその仲間をその場に放置して、その場を立ち去った。
彼女がそれからどうなったかはまた別の話だ。
だが、繰り返すが彼女自身に俺たちは恨みはない。元気にやっていつて欲しいものだ。
俺は思い出す。
俺がダンジョンでパーティーを追放され、地獄を見たあの時の事を。
そう。
俺の、俺たちの復讐は――始まったばかりなのだ。
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