出オチ感に惑わされるな! 奥深いものを感じずにはいられない褌ドラマ

いやまぁ、「振魔羅(フルマラ)」なんて文字見せつけられたら思わず笑いが込み上げてきてしまって、人によっちゃブラウザバック不可避なのは容易に予想できますけれども。

でも待ってください。
今一度、左向きの矢印に向かいかけた意識をこの場に留めていただきたいのです。
この奇妙な褌男は、変わりゆく時代とそれを生きる人々の栄枯盛衰を、その長い褌と共に荻窪で見続けてきた象徴なのです。
そしてこの読了時に得られる感覚は、なんとも言語化しがたいものではありますが……少なくとも、決してこの作品のタイトルや冒頭に思い浮かべていた、出オチ感あるしょうもなさとは正反対の、重く太い、確かなものを感じさせる堂々とした、確かな満足感であると自信を持って言えます。
それはさながら、フルマラソンを走り終えた時のような。

交錯する時代の泡沫の名残、この褌から感じ取ってみてください。