Survival Island 

わらし

7/0 漂着

俺(いつの記憶だろうか、それともこれは、ただの夢なんだろうか)


?「必ず、私があなたを救いに行く」

?「だから待ってて...あなたは、罪人なんかじゃない」


俺(ぼやけてよく周りは見えないが、今にも泣きそうな少女の姿が、輪郭でうっすらと見える、わからない...これは...一体何なんだ?)


少女の頬に手を伸ばそうとしたときプツンと意識が途切れた



「一日目」


俺「いっつつ...」


頭を抑えながらなんとか立ち上がろうとしても、足に力が入らない


俺(足が動かない...そういや、飛行機墜落事故に巻き込まれて...助かったのか?)


背後を向いてみると、ボロボロになった服を着ている自分の身体と、その先には黒焦げの飛行機だった金属の塊があった、そして雄大な海と、今倒れている木も何も生えていない砂浜が見える


俺「ハハ...まさかここ、大陸じゃなくて島とか言わないよな...だとしたら...」

(体はまだ言うことを聞かない、ここが島なのか、大陸なのかは、体が動くようになあってから確かめよう)


しばらく砂浜の上で休息を取りつつ、段々と体の感覚が戻ってきた、ものすごく体は痛い、が、動けないほどではない

砂浜の上からゆっくりと立ち上がり、砂を払ってから、海岸線沿いを歩き始める内陸に広がるのは見渡す限りの森森森...それに崖は切り立っていて登れそうになく、内陸には行けそうにない

数分も歩けば、ヤシの木が一本見えてきた、ちゃんとヤシの実もついている、今は木登りできるような体力はないから、後で来よう

さらに数分歩いてふと内陸側を見ると、崖がだんだんと低くなってきているような気がした、この先、内陸へと入れそうな、登れる場所があることを期待しておこう

数十分また砂浜を歩けば、内陸側に入れるような場所があった、久々の芝生を踏む感触は、なにか懐かしさを感じさせる、しかし、おかしな物があった、


俺「確実に、火を焚いた跡だ、それに、なんだこれ...?シグナルを送信...これ、ここにいたら助けてもらえるんじゃないか!?」


何かの装置、そのモニターに書いてあるのは「ビーコンを起動、シグナルを送信」

それと、ヘルメットがビーコンの隣に転がっていた


でも、救援がくるかもしれないという希望が見えた彼に、深くまで考えるような余裕をなくしてしまっていた、ここで焚き火をやっていた誰かが残していったものだろうくらいにしか考えていなかったのだ、だからよくも見ておらず気が付かなかった、黒いヘルメットに、見えにくいが血がついているという事実に


俺「おっ、ご丁寧にマッチまでついている、それと周りは砂浜と海、やっぱここは見た感じは島っぽいが無人島ってわけでもなさそうだ、よかったよかった」


枝を森の方からかき集め、落ちていたマッチに火を付ける、湿っているわけでもなく無事に火がついた、これで夜も十分に過ごせるし、飲水だって作れる、


俺「さて、さっき木に実ってたヤシの実でも持ってくるか!」


その時、背中に悪寒が走る、胸がざわざわする嫌な気配...そのままゆっくりと後ろを振り返ると...そこには何もいなかった


俺「き、気のせいか...?もしかして野生動物か?それだと怖えな...襲われる可能性あるし、一応武器になりそうなものも探そうか...」


森の方へと近づいて、先の尖った鋭い枝を見つけたので、それを腰のベルトへと刺した

森の木を見上げてみれば、パラシュートらしき布が引っかかっている


俺「おっと、あれはなんだ?」


少しだけ森の中に入り、引っかかっているパラシュートの下についているものを見てみると、そこには落ちた衝撃で壊れたような痕跡のある木箱がついていた、そして木箱の中から荷物が飛び散っている


俺「使えそうなものないかn...え?」


そこには拳銃、M1911が一丁落ちていた

救援物資の中に銃が入っている、これは相当過酷な所へ来たのではないかと息を呑む

銃をそっと手に取り、ベルトに枝とともに刺した

森を一旦出て、ヤシの実を取りに向かった、


俺「...ちょっと、使ってみる?」


ベルトから拳銃を抜き、ヤシの実の少し上、実がなっている枝を狙う


俺「狙い方これであってるのか?」


照準を枝に合わせ、トリガーを引くと、破裂音と共に弾丸が飛び出ていき、枝を見事に撃ち抜いた、ヤシの実はそのまま落下して、砂に半分埋まった


俺「いけた!俺って才能あるかもしれないな!」


くるくると銃を指で回して、気分が上がっていく、銃なんて握る機会なんてほとんどないからである


俺「食料集めついでに、もうちょい練習しよ!」


他のヤシの実を探しに浜を歩く、食料探しは建前で、銃をまだ撃ちたいってのが本音である

...

しばらく浜を歩き回ってみると、思ったより実はたくさんなっていた、現在ヤシの実は7つ、当然銃を使って取った


俺「これど八個目...って、弾ないじゃん」


またトリガーを引くと、弾切れを知らせるカチッという音が鳴り響く、そして太陽を見れば、海の方へと沈みかけている


俺「そろそろ夜か、ここだけ見て、キャンプファイヤーのところに戻るか」


俺が最初に倒れていた、飛行機が墜落している場所まで戻ってきていた

ついでに飛行機内を見て、焼けてない荷物がないか確かめに来たのだ

結果は、荷物は少しだけ残っていたが食料も水もなく、今は使えないものが多かった


俺「まぁしかたないよな、ただの旅客機だし、こんな状況を想定して荷物詰めないよな」


ただ、毛布があった、焼けていないカバンの中に入っていて、まだ使える、

これで夜も寒さ対策をして眠れる


俺「よし、毛布だけ持っていこう」


毛布を肩にかけて、焚き火のところまで戻っていく


俺「初めて食ったけど、案外うまいな」


初めて食べたヤシの実は、案外美味かった

あたりもすっかり暗くなり、俺は焚き火を見ながらぼんやりとこの先について考える


俺(救助してもらった後は、母国に返してもらえるように、手続きとか進めなくちゃなぁ...パスポートは燃えてなくなっただろうし、めんどくさいな...)


思考をどうでもいいことに巡らせていると、ふいに鳴る物音、パキッと枝が折れるような音、

慌てて物音のした方向を見ると、そこに立つ黒い影

奇妙に光る赤いゴーグルをつけていて、長い爪のような凶器が手にくっついている

しかし人だ、生存者なのかもしれないと、俺は声をかけ、近づいていった


俺「おーい!あなたも生存者な...」


一瞬だった、うかつに俺が近づいてしまったばっかりに

彼の姿が消えると、サクッ、という切られたときに出る音とともに、俺の視界は180度回って...


END7/0







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