転移したら俺だけサイズがバグってる。なんだかみんなちっちゃくね?
茶電子素
転移したら俺だけサイズがバグってる。
「……あれ?なんか視界が広い」
気がつけば俺は石畳の広場に立っていた。
どうやらこれが噂に聞く異世界転移らしい。
周囲には鎧を着た兵士やら、ローブをまとった魔法使いやらが
わらわらと集まっている。
だが、違和感。
(……おい、なんでお前ら、そんなに小さいんだ?)
筋骨隆々の騎士団長らしき男が、胸を張って名乗りを上げる。
「我こそは王国最強の剣士、ガルド団長である!」
……が、俺のへそのあたりまでしか身長がない。
いや、筋肉はすごい。肩幅も広い。なのに、全体的に縮尺がおかしい。
「勇者様!どうか我らを魔王からお救いください!」
王女らしき少女が涙ながらに訴える。だがその王女も、俺の腰の高さくらいしかない。
……え、これ、俺がでかいの? それとも世界が小さいの?
――魔王城にて
数日後。俺は勇者として魔王城に乗り込んだ。
玉座に座っていた魔王が立ち上がり、威厳たっぷりに名乗る。
「我こそは魔王!この世界のすべてを欲する者なり!」
……みぞおちの高さ。
「……ちっちゃ」
思わず口から出た。
魔王は顔を真っ赤にして杖を振り上げる。
「無礼者!我を愚弄するか!」
だがその杖も、俺からすれば子供のおもちゃサイズ。
振り下ろされても、全然怖く……いや危なっ!ピンポイントで股間の高さって!
「でもまあ、俺のほうが強いわ」
片手で魔王をひょいと持ち上げた。
「お前って、ちょっとリアルめなマスコット感あるな」
魔王は必死に手足をばたつかせる。
「離せぇぇぇ!我は恐怖の化身ぞぉぉぉ!」
……かわいい。
魔王を小脇に抱えたまま、俺は王都に凱旋した。
民衆は歓声を上げる。
「勇者様が魔王を倒したぞ!」
「なんてでかい男だ!でかすぎる!」
だが俺は気づいてしまった。
この世界、建物のドアが全部小さい。
宿屋のベッドはくるぶし。
食堂の椅子に座ることさえままならない。
「……生活できねぇ」
魔王を倒すより、この世界で暮らす方が難易度高いんじゃないか?
――王城、石畳の広場にて
王女が俺に告げる。
「勇者様、どうかこの国に残り、我らを導いてください!」
俺は答えた。
「いや……俺、まずはサイズ合うベッド探すわ。あと巨人の国も」
こうして俺の異世界生活は始まった。
とりあえず、魔王を抱えたまま伝説の家具屋を探す旅にでも――。
追伸
そのうち続編?で「集団転移したら俺だけサイズがバグってる」も書くかもです!
それか、どなたか代わりに書いてくださいw
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