6日目 キャンディとお菓子『いろんなお菓子を食べちゃおう!』

 ニアが目を覚ますと、ゼルが黒猫のノクスを抱き上げていた。


「今日は何をして遊びましょうか?」

「今日はたくさんお菓子を食べたいな」

「また作るのですか?」

「ううん。今日はキャンディをたくさんと、あと他にもたくさん」


 ニアは村の子供たちがお菓子を貰うところをよく見ていた。甘くてほっぺが落ちそうだと楽しそうに笑う子供たちに近づくと、子供たちは「そんなに欲しけりゃやろうか」と言って飴玉をニアに見せた。ニアが顔を輝かせると、子供たちは飴玉を地面に落として踏みつけ、「これでも食ってな」と笑って見せた。ニアはその飴玉を口にした。甘いはずなのに、とても苦い味がしたようが気がした。


「それなら、たくさんキャンディでも降らせましょうか」


 そう言ってゼルが手を振ると、天井からバラバラとお菓子の包みがたくさん落ちてきた。金色や銀色、ぴかぴか光る赤や青や緑のキレイなアルミの包装が金や銀の紙で飾られた天井から降ってくる姿は、まるでおとぎ話のようであった。


「まあ、雨みたいね」

「中身は飴玉ですけどね」


 そう言うと、ニアとゼルは顔を見合わせてクスクスと笑った。


「飴玉以外にもたくさんありますよ、例えばほら」


 ゼルが拾った包装紙の中から、チョコレートが出てきた。他にもクッキー、キャラメル、グミキャンディーなどたくさんの種類のお菓子があるようだった。


「まあ、楽しそう! 私もやってみるわ!」


 ニアは夢中で包装を開けていった。きらきら光る包装紙の山に埋もれながら、ニアは甘い香りに包まれていた。


「こんなにいっぺんにいろんな種類のお菓子を食べたことなんてない!」

「ここはあなたの夢の世界ですからね。どんなことでもできますよ」


 ゼルはニアが食べたお菓子の包装紙を拾って、丁寧に広げていた。


「そうなの? それじゃあ……きゃっ!」


 ニアが悲鳴を上げた。包装紙の中から、大きな芋虫が出てきたのだ。


「おっと失礼。我々にとってこれは甘味……しかし、魔女見習いの貴女には少し早すぎるお菓子でしたね」


 そう言ってゼルは芋虫を拾い上げると、黒猫のノクスのほうに放ってやった。ノクスは蠢く芋虫に飛びつき、あっという間に平らげてしまった。


「芋虫も、おいしいの……?」

「おいしいですよ。今度、立派な魔女になった暁には、是非」

「考えておくわ……」


 それからニアはお菓子を食べ続けた。ゼルが丁寧に広げた包装紙は新たに星の形に切り抜かれ、天井をいろんな色で彩ることになった。ニアはノクスが芋虫をぱくりと食べてしまったことでお腹を壊さないか心配したが、それよりもこれから先自分も芋虫を食べるようになるのかと少し不安になった。しかし、とても満腹になった日であった。


『6日目:終了』

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