第11話 - すべてが崩れる (後編)

第11話の続きから始まるエピソードです。前回の終わりから物語が続きます。どうぞお楽しみください。


マダラ vs 黒神


幻影の割れた光の中で、俺の氷の刃の腕がきらめき、凍りついた死の双竜のように旋回した。


黒神の幽霊の槍が手の中でちらつく――鋭く jagged な影のエネルギーの破片、突き刺す準備が整っている。


衝突が始まった。


黒神が先に動いた。眩しい速さで、槍が稲妻のように飛ぶ。


俺の氷の腕が回転の途中でひねり、攻撃をかわし――そして反撃、空気がシューッと裂け、霧が蒸発するほどの速さで斬った。


黒神はフェイントをかけ、突進し、俺の胴体に深く刺した。


槍は貫通し、幽霊の光を反射してきらめく。血が噴き、赤い霧が割れた幻影を満たす。グリッチと静電気が走り、モモは息を詰まらせた。


俺の笑みは広がった――狂気じみて、制御不能。痛みは感じたが、笑った。回転――空気を裂く氷――俺の刃は黒神の首に鋭い線を刻んだ。


「血を流せ、叫べ、消えろ。面白い。」――狂気の叫びと共に


血が噴き出す。黒神の体はねじれ、光る傷は瞬時に回復。決闘は再開され、目では追えない速さになった。


戦場は混沌と化す。動きはぼやけ、速度が衝撃波となる。


空へ舞い上がる――蹴り、回転、斬撃――破れた幻影の跡を残して。色は乱れ、空に静電気が走り、現実は歪んだ。


黒神は強力な幽霊の槍を突き出す。俺は地面に叩きつけられ、コンクリートと幽霊の残滓が爆発した。


幻影はさらにひび割れ、破片となった幽霊や瓦礫が降り注ぐ。


モモは叫ぶ、慌てて――「レンジ!!!」


凛の指が見えない円を描く。空間そのものが裂かれる。


黒神は動きを止めた。腕も脚も、完全な対称で滑り落ち、見えない法則に従う。世界そのものが彼女の意思で曲がった。


見えない円形の刃、虚無のエネルギーの円盤、そして切断の概念が凛の周囲に浮かぶ。空中に静止し、ガラスのように薄く、光より鋭い。


一つの仕草――ささやき――それらは回転した。空間のあらゆる動きが斬られる。切断は距離も現実も物理法則さえも無視した。


黒神の胸が痙攣する。概念的な斬撃が、彼の体という存在そのものを裂いた。


彼の目が見開かれる。これまで感じたことのない痛み。

「ア、アアアア…!!!」


回復は阻まれた。再生の試みは全て失敗。切断は肉ではなく、思考、力、概念――容赦なく打ち込まれる。


俺の目がちらつき、一瞬グリッチ、レンジと同じ模様を映す。そして笑いが戻った――狂気の、異常な笑い。


再び回転し、氷で斬り、黒神の胸を切り裂く。血が凍りついた花火のように飛び散る。


黒神はさらに幽霊を呼ぼうとする――しかし凛のシロクロ形態が幻影の意思を砕いた。援軍なし、再生なし。


閃光――思考より速く動き、再び狂気じみて叫びながら、現実を切り裂くように振り回す。


「死ね!」


次の一撃で、黒神の首はきれいに切断された。血が噴き出し、割れた幻影に赤い弧が雨のように降る。


「お…お前…どうして…?!」


幻影そのものが砕け散る。ガラスのような亀裂が戦場に走り、幽霊の光が破片となって散った。


モモは息を吐く。安堵と衝撃が混ざる。腕――まだ回復中――が痛く脈打つ。


モモ(疲れた声でささやく)「…五人…全員…消えた…」


かつて彼女を殺した五つの異形の者たちは、滅び、存在から抹消された。


血と光が床に広がり、静寂が訪れる――どんな戦いよりも大きく叫ぶ沈黙。


俺はよろめき、片側に倒れた。腕の刃を覆っていた氷は溶け、微かな蒸気の跡だけ残る。蒼白で凍傷の皮膚は元の色に戻り、黒と青の血管の跡も消えた。


モモ(駆け寄りながら)「レンジ!」


目を開け、意識が戻る。弱々しく笑む。


「怪我した…ひどい?」


彼女は首を振り、痛みにもかかわらず微笑む。凛の陶器のような肌は溶け、再び溶けた青銅に戻った。


俺の視線は凛の胸に留まる。少し身を寄せ、挑発するように。頬が赤くなる。


モモ(嫉妬して叫ぶ)「離れて!」


凛はにやりと笑い、鋭い目。緊張が解けた。


「安心…ただ見てるだけ。」


俺の意識が突然戻る。


「待って…樹!」


二人は廃墟の森を駆け抜けた。樹はかすかに横たわり、ほとんど呼吸していない。揺さぶる。


樹(弱々しく)「…生きて…る…?」


レンジ

「うん…生きてる。」


近くに、徹の頭ではなく、徹の体が捨てられて横たわる.凛は敵の幽霊の頭を召喚――復讐完了の証。


俺は小さくつぶやく。

「約束を守ったな。」


凛の目が見開かれる。


凛「マーケット閉店まであと一時間。次の開店…来年だ。急げ!」


俺はモモと樹の手を掴む――だが感触がない。モモの指はすり抜けた。


俺は混乱する。


「何――?」


彼女の体がちらつき、光の欠片が上昇し、そっと言う。消えゆく声で。


「レンジ…待ってる。遅れないで。」


俺は抱こうとする――手は空気を通り抜けた。彼女の体は欠片になり、空へ漂う。


すると樹の光が始まる。子供は恐怖でしがみつく。

「…死ぬの…?行きたくない…」


俺は強く抱きしめる。しかし光は彼をも飲み込み、樹はほとんど泣きそう。

「レンジ…助けて…」


飛び上がり、何もない空間を掴みながら叫ぶ。

「樹!!!」


少年は消えた。俺は膝をつき、涙が砂を切り裂き、声はかすれ震える。


「なぜ…なぜ彼ら…?」


凛は黙立つ。究極の力の余韻が消える。


遠くで、赤髪の少女が静かに見つめる。手は樹を救った幽霊の獣に置かれている。


再び鐘が一度鳴る。


つづく…


[エピソード11 終]

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