銀色の巨神とデュアルヒロイン

みずとき かたくり子 

第1話プロローグ1 宇宙人と未来





藤井未来みきは普通の女子高校生だった。

学校からの帰り道、夕焼けに染まる空を見上げながら友達とのおしゃべりやテスト勉強のことを考えていた。

その時、不意に彼女の視界に飛び込んできたのは車道に飛び出そうとする小さな子供の姿だった。


「危ない!」

反射的に叫びながら未来みきは走り出した。

子供を抱きかかえて安全な場所に押しやった。

しかし、次の瞬間、彼女の体に激しい衝撃が走り視界が真っ白になった。

車が未来みきに突っ込んできたのだ。「ああ、私は死ぬのね…」

痛みとともに意識が遠のいていく中、未来みきは自分の行動に後悔はなかったと感じていた。

命をかけてでもあの子供を守ることができたのだから。

その瞬間、未来みきの耳に声が聞こえてきた。

「勇気ある優しい少女よ」

「誰…?」

辺りを見回しても姿は見えない。

声だけが静かに響いていた。

「私は、ある星から来た宇宙人だ」

「宇宙人…?」

「君の勇気ある行動に敬意を評し、私の命を君にあげよう」

「あなたの命?あなたはどうなるの?」

「君と一心同体となる」

「一心同体?あなたはどうなるの?私のプライバシーは?まさか、私のお風呂やトイレまでのぞいてたりしない?」


「君の意識は独立している。私が君の行動を監視することはない。ただ、必要な時に私の力を借りられるということだ。私の意識は普段は眠っているような状態になる。君が呼びかけた時だけ応じるのだ。お風呂やトイレに関しては全く心配しなくていい」


「それなら少し安心かも…」未来みきはまだ半信半疑だったが、その言葉に少しだけ心が軽くなった。


「コンプライアンスや個人情報は?大丈夫なの?」


「君のプライバシーと個人情報は完全に保護される。私の存在は君が望む時だけ現れるものであり、君の日常生活に干渉することはない」


「それなら安心ね」未来みきはようやく納得し、少しだけ安心した表情を見せた。


「もし、困ったことがあったら、これを使うといい」突然、未来みきの手に光る棒状のアイテムが現れた。


「これは何?」


「ベータスティックだ」


「これを使うとどうなるの?」


「ふふふ、心配することはない」


「…デザインださ…」それは無骨なフォルムのアイテムだった。


「…すまん」


「それに携帯するのにも不便なサイズだよ。胸の谷間にでもはさんでおけというの?セクハラかしら?」


「ならば」ゼクスの声とともにベータスティックは光輝くとペンダント状に変化した。


「有難う。これなら、いつも身につけていられるわ」


「使用する時に元の形状になる」


その言葉とともに未来みきの視界は完全に暗闇に包まれた。

「宇宙人さんの命をもらったから生き返れるとおもったけど、今のは今際の際の夢だったのかしら?」

再び、未来みきの意識は途切れる。

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