小学生は立ち入り禁止

浅川 六区(ロク)

800文字程度の物語り

「ねえ菜々美―、駅前にオシャレなカフェが出来たの知ってる?」夏⼦は

⽬を輝かせて菜々美に問いかけた。

「駅前って…⻄⼝ターミナルの“ラキバ”のこと?」


「ラキバ?…そうそう!確か“ラッキークローバー”って⾔う店名だった。

だから略してラキバだね。うんうん」

「あの店ね、ユウタの両親が始めた店なんだって」


「へえー、ユウタ君の家なんだ。すごいねぇ」

「でもうちらはまだ⼩学⽣だから、カフェとか出⼊り禁⽌だよね?」


「だね。でもあと⼀年で中学だから、そしたら⼀緒に⾏こうね」

「もちろん!」


⼆⼈の会話を近くで聞いてたユウタが話に加わる。

「今ちょっと聞こえたんだけどー、ウチの店“ラキバ”の話してた?」

「してたよ。中学に上がったら菜々美と⾏こうって」夏⼦が答えた。


「来たいんだったら来て良いよ」ちょっと誇らしげな顔でユウタが⾔う。

「え?良いの?ウチら⼩学⽣だよ?」


「何⾔ってんだよー。俺だって⼩学⽣じゃんか」

「ユウタ君は⾃分の家だから関係ないだろうけど、ウチらは…ただの可愛

い⼩学⽣⼥⼦だし」


「か、可愛いかどうかは分からないけどー、じゃあさ…こうしようよ。

 お前らは俺の友達って事にすれば、ほら、 お客として⼊店するのは⼩学⽣だ

とダメだけど、友達なら平気じゃん。“友達の俺んにお前らが遊びに来

た”って⾔う設定にすればー」

「なるほど、 ユウタ君頭良いね。 アホのクセに良いこと思い付くじゃんか」


「あ、今⾔ったセリフ…気にさわったな。お前、夏⼦は来ちゃダメね」

「ご、ごめん…訂正します。“ユウタ君頭良いね”を取り消します。はい、

スミマセンでしたー」


「そっちじゃねーよ!訂正すんのは“アホのクセに”の⽅だよー」

「あははー、ジョークだよジョーク。でもありがとうね」


「良いってことよ。俺たち今⽇から友達だもん。でさ、友達と⾔えば、

 普通は宿題とか⾒せあったりするだろ?昨⽇の算数の宿題なんだけど…」


「ダメ。絶対イヤ」

「それとコレは別。宿題は⾃分でやれ、やっぱりアホだな」


                             Fin

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