第12章「これは誘拐だ!」

「なっ!? ここ、どこ!? 何!?」




美織教授の叫び声が響く。声が震えてる。


普段の冷静な仮面、粉々に砕けた。


空気がビリビリ、張り詰めた弦みたい。




ヒロムラ学部長、拳をギュッと握る。


「ふざけるな! 説明しろ!」


サイトー教授は冷静、でも眉間にシワ。鋭い目で講堂をキョロキョロ。




学生たちはパニック。


泣き叫ぶ子、気絶する子。


残りは震えながら、互いにぎゅっと寄り添う。




ミズキは二人の後輩をギュッと抱きしめる。


「落ち着いて!」


顔、真っ白。チョークみたい。


説明、聞いたけど…意味わかんない!




女の声が講堂を切り裂く。


「ようこそ、召喚された者たち。」


静か、なのにすさまじい迫力。


「エイラニスの意志により選ばれた。」


「死にゆく世界を救う。それが君たちの運命。」




時間、止まったみたい。


講堂、シーンと静まり返る。




ミヨリがガッと前に飛び出す。


「選ばれた!? ふざけんな!」


「学生拉致して何!? イタズラやめろ!」




女、ニヤリと笑う。


「私が選んだんじゃない。」


「運命が選んだ。」


「君たちの世界がそれを許した。」


「ここで、君たちは使命を果たす。」




サイトー教授、氷みたいな声。


「戻せ。さもないと、ただじゃ済まない。」




教授たちがズイッと前に出る。


学生たち、自然と壁になる。互いを守ろうと。




女、首をかしげる。


目、好奇心でキラッと光る。


「恐怖は分かる。」


「でも、戻る道はない。」


「『境界』を越えた。」


「元の現実は、もう存在しない。」




講堂、ざわつく。




「嘘だろ!」


「頭おかしいんじゃない!?」


「解放しろ! イタズラやめろ!」




叫び声、部屋中に爆発。




そしたら――


「アハハハ!」




ナギの笑い声、空気をぶった斬る。


全員の視線、ガッと彼に集中。




「マジで頭イカれてんの?」


「本気で戻りたいわけ?」


「ねえ、お姉さん、戻さないでよ。」


「俺、あのクソくらな世界とオサラバしたい!」




声、震えてる。


でも、言葉、心にズドンと刺さる。




「誰が戻りたいって?」


「毎日、ただのサバイバル。」


「誰かが死に、誰かが泣く。」


「報われることなんてない。灰色の世界、戻りたいか?」




講堂、シーンと静まり返る。


ナギの言葉、心をズタズタに切り裂く。




「SNS開けば、いつも同じ。」


「成功者のキラキラ生活と、自己嫌悪。」


「誰かが泣き、誰かが愚痴り、誰かが苦しむ。」


「それが『普通』だって?」




声、毒と皮肉がビリビリ。


でも、その裏に――虚無。




「そばにはクソくらなモチベーションフレーズ。」


「『君ならできる!』『夢は叶う!』」


「ハッ、笑える。」


「現実逃避のための慰めでしかない。」




「『誰でも勝てる』?」


「嘘だろ。」


「力も、居場所もない。」


「ただ不条理に抗うだけ。」




ナギ、視線を落とす。




「毎日、絶望のループ。」


「嘘が全部飲み込む。」


「それが現実だ。」




ゆっくり、顔を上げる。




「誰がそんなとこ戻りたい?」


「希望? ただの空っぽのメールボックス。」


「だったらここで…」




ニヤリと、狡猾な笑み。




「変えられるかもしれないぜ。」


「アニメのヒーローみたいになれる、わかるだろ?」




ミズキ、息をのむ。




「凪…お前、何…!?」


後書き

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