「犬笛を鳴らす気はなかった」と通常の聴覚を持つ男性は言った

本レビューの題名に記された台詞は作中に登場しません。はい、嘘です。

しかし、上記がネタバレなんです。

ネットで仲間内にしか正しい意味が伝わらないため周囲にばれない書き込みのことを、欧米で "dog whistle" と呼ばれたものが日本でも「犬笛」と呼ばれるようになりました。通常の聴覚を持つ人物には犬笛の音は聞き取れません。そこから来た呼び名です。

この小説は、自分で気づくことなくネットでの「犬笛」を書き込んでしまった男性が主人公。

当たり前の記述を、そんな曲解するなんて想像しないよ!

そう叫んでも遅いのです。気づかないと垢BANです。気づくまでのやりとりが実にスリリングで。

ただ、そこまで深読みされていくと何も書けなくなるというのは、皆様がご想像なさる通りです。作者様は以前より表現規制に反対の趣旨で風刺小説を記されてきました。本作を読んでも、表現規制の恐ろしさが身に染みます。

可笑しゅうて。やがて哀しゅうて。

いや、後半は噺ですよ。そんな、ねぇ……

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