第八章

第八章 友

 

その腕は 屍肉が たれ

ほの白い骨には 筋組織がまといついていた

 だ……ぉ!

 ミアは 蹴って解く

 ぼぼぼ

 辺りから死体のうでが つきだされ

 ミアは 大地へと

 死した者たちの脈打つ奈落へとひきずられようとしていた

ざお……

 円舞!

 リョウは回転を かけると 死肉を切り払う

「あ……」

 ミアが自由になる

 いくよ?

 リョウに背後からよばわられ

「うん」

 ミアはうなづいた

 みーあー

 その声

……愚かなり……人間に加担する 戦乙女……

 神の意志をいただく

 この我にはむかうか?

 樹表にあらわれたのは 赤い 血色の 巨大な瞳

 そして

 溶岩を 横に割ったかの様な口

 お前たちも吸収されろ!

 人間によって森が滅ぼされ おぞましい毒が巻散らされた

 そして人間の

 死んでも 拭えない怨嗟 情念それが私を育てた

 人間こそが 最初は友であった

 しかし友はかわっていった

 友が友を恨み殺し

 地に埋める

 私の足元にも 埋められている

 忘れられない

 あの 今際の 絶叫

 そして

 その血の 染みてくる根

 それを吸い上げていく私は?

 もはや

 動くことも出来ぬ頃の はなしであるがな!……

 長老の樹は大地を裂き根を 突き上げた

 そこには 屍の山

 ……私は目覚めた!友を滅ぼす! 大地を食らうのは人間である

人間を滅ぼし

 我々だけの聖地を作るのだ

 

 


 

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