幕間 基本世界設定解説(少し今後のネタバレ含む)

※ 以下は世界観をよりよく知るためのソースデータです。

※ 作品内のストーリー上でもある程度の解説がなされるので、こういった設定を読むのが好きな方のみお読みください。


●魔界:

 中央大陸【テラ・ラレース】を中心に、その周囲を【物理的な果てがない海】――、通称【無限海】に囲まれた異世界。一般に大陸の名称をとって【テラ・ラレース世界】とも呼ばれる。

 いわゆる惑星に存在する世界ではなく、無の混沌内に水泡のようにある空間に、海と大陸が存在するという、明らかに物理法則の外の世界である。

 そこに成立している自然環境は、現実世界における地殻変動などで意味があって成立したものではなく、まるで現実的自然環境を参考にランダム生成で生み出されたような、不自然な環境を含んだ異質なものである。

 そういった環境構造に関して、最もわかり易い例が【火山】である。現実としての火山は地殻下のマントルなどが影響して、マグマ溜まりなどが生まれて起こるのだが、テラ・ラレースにおいては、火山地帯としての環境設定を維持するために、何処からか無限供給されるマグマによって形成されているのである。

 ようするに、仮想環境が現実化したかのような自然環境こそ、テラ・ラレースの世界構造なのである。

 その空間内には【魔力】が満たされ流れを作っており、それがこの世界の【人間】や【動物】に対し様々な影響を与え、種として進化した【魔人族】や【魔物】へと変異させている。

 そのような、テラ・ラレース世界に住む存在の中でも、特異な存在だと言えるのが【天魔族】そして【幻魔】の二種族である。

 そのうちの【幻魔】は、魔界の魔源異常(=魔力域異常)が引き起こす【天災、天変地異】によって出現する存在である。

 この世界には地殻変動などがないので、当然そういった災害類はない、――かと思えば、魔源異常という現象によって、似た事象である【天災、天変地異】が発生するのである。

 下級幻魔、中級幻魔、の二種は【天災、天変地異】が起こった地域で数体出現して暴れるモンスターである。そして、【天災、天変地異】が終了してしばらくすると自然消滅する。

 なかでも中級幻魔は、よほど大規模な【天災、天変地異】が起こらないと出現しない希少種である。その能力も戦闘能力に特化した【天魔七十二姫】以上の【天魔族】が相手すれば、なんとか倒せるかも、――という強さを持つ。

 さらに上には上級幻魔と呼ばれる存在がいるが、これはほぼ生まれてこない希少中の希少であり、ただ一度出現するとそのまま存在が消えることはない。さらに、こういった種は【天魔族】の集団によってやっと討伐可能な存在である。

 そして最上位の【幻魔】として【幻魔竜王】という種が存在している。このクラスは魔界の長い歴史上、たった数回起こっただけの【天変地異】の際に、一体出現する程度の希少存在であり、その戦闘力は凄まじく、唯一【魔王権能の具現】と呼ばれる【特務】に位置する【天魔族】、又は【魔王種】本人のみ相手ができると言われている。



●天魔族:

★基本概要:

 【天魔族】は【魔人族(魔界の人間)】と起源が違う知的生命であり、意思を持った魔力である【精霊神】が【魔人族】のガワを真似て肉体を得た存在である。

 そもそもが【魔人族】とは違うために、その間に子をなすことは不可能であり、さらに言えば【魔人族】とは違い寿命すら存在しない。さらに言えば、ほぼ病気(ウイルス起源など)を患うことはなく、殺傷による死亡もし難い強靭な生命構造を持っている。

 彼女ら【天魔族】の基本は女性体である。元となる【魔人族】の女性体を再現して、その機能もほぼ完全に模倣している。ただ、その核である精神構造は必ずしも女性とは言えず、ある者は男性のように振る舞うようなこともある。彼女らが女性体である理由は、起源である【精霊神】が女性神であったためと言われている。

 彼女らはその種を維持する繁殖手段として、【繁殖種】と呼ばれる繁殖機能を抽出しただけの下位種を利用していた。それら繁殖種は、ある時期に起こった災厄によって全滅し、もはやその実態を知る機会は失われている。が、かつてを知る者によると、知能のない男性種と呼べるものであったそうである。

 繁殖手段が失われた現状、天魔族は緩やかな滅びに向かっている。が、突然変異的に生まれた男性体魔王種である【天魔 総司】ならば、繁殖機能の補完を行えるのではないか、と期待されている。

 前述の通り、受肉した神である天魔族の生命としての核は、神核と呼ばれる【複合情報エネルギー構造体】である。それは、深層世界において種全体が一つに繋がっており、それ故に精神にもある程度影響して、深い共感力や統一された精神性の基盤になっている。

 そして、この神核の大集団は、世界律管理機能の中核部分としての、【中枢神核】一つと合計七十二の【末梢神核】、を維持するための基盤として存在している。この内、中枢神核は魔王種が保持し、末梢神核は【源流神核】と呼ばれ天魔七十二姫が保持している。こういった構造を、この世界の学術的に【ソロモンシステム】と称している。

 【中枢神核】と【末梢神核】は、魔源から得る魔力を、時間をかけて結晶化して、個別世界律制御機能のエネルギー源として利用する事ができる。こういった機能を【固有権能】、それに利用する結晶化魔力を【魔源核マナコア】と呼んでいる。なお【中枢神核】の魔源核は【アッパー】、【末梢神核】の魔源核は【ロウア】が各名詞の頭につく。こうした魔源核の同時結晶化数は、【末梢神核】ならば一つ限定であるが、【中枢神核】と【末梢神核】の突然変異複製体である【特異神核】に関しては、精神安定度、精神成長度、【特異神核】であれば魔王種との精神的つながりの強さによって、大抵の場合10個あたりを上限として、8~4個が保有限界となる。なお一時的に精神力が落ちた場合、保有していたストックが消滅する危険も存在する(魔王及び天魔七姫将限定。天魔七十二姫にはそういった危険はない)。


★源流七十二姫族:

 【天魔族】の血族は、七十二の【末梢神核】最初期保有者の血筋を示す七十二の氏族、天魔族における【姫族】で表される。

 当然、各姫族は血筋の基盤である各【末梢神核】を覚醒することが多く、その覚醒者を氏族長とする社会が築かれている。そういった存在を【天魔七十二姫】と呼び、各【末梢神核】の名称と同じ姓を名乗る事ができる(それ以外の天魔族には姓がありません)。

 ただ、別の血筋に異なる【末梢神核】が覚醒することも稀であるが存在している。

 さらに、【末梢神核】の突然変異複製体である【特異神核】に目覚める者も存在する。こういった【特異神核】の特徴は、【一代限りのもの】【末梢神核の一部、又は全ての特性を保有】【魔源核の同時結晶化数の上限がない】となっており、発生時点でその特性を調べられて、その特性が九割以上同じであれば【末梢神核】と同じ名称を、そうでなければ特別な名称を与えられる。特に同じ親を持つ姉妹において、片方が【末梢神核】保持者であった場合、そのもう片方が覚醒した【特異神核】は高確率で前者(九割以上同じ)となる。

 【特異神核】保持者は、当然その神核名称と同じ姓を名乗る事ができる。これがいわゆる姫将であり、現在合計七人であるため、特別に【天魔七姫将】と呼ばれている。


★魔王種:

 【天魔族】に稀に生まれてくる希少種にして本作主人公の正体。

 主人公は、本来は女性体として生まれるはずであったが、何故か天魔族の歴史上初めての男性体として生まれた。

 このため、天魔族の中に混乱を招く原因の一つとなり――、本編の始まりへと続く。

 体内の【中枢神核】の覚醒によって全天魔族最強の力を得ると同時に、全天魔族の機能拡張を行える【魔王権能】によって、魔界でも最高位の集団戦闘能力を発揮できる。

 ちなみに本格的に覚醒する年齢はだいたい二十歳前後だろうと思われ、まだ十六歳である主人公の能力と【魔王権能】はかなり限定的なものだと言える。

 しかしながら、現状の主人公であっても、その幅広いバフ能力は、線場において十分切り札になり得る効果を発揮する。


★魔王権能:

 中枢神核を持つ者が扱える、対天魔族機能拡張用固有権能。

 使用に関しては【魔源核アッパーマナコア】を消費する以外は他の固有権能と同じ。

 中枢神核本覚醒前でも多少制限はあるが限定的に扱うことは可能である。

 原則として【権能効果領域内に存在する天魔族(これを魔王の庇護領域という)】に対して行使する。

 権能発動の指示式は訓練によって省略が可能。

 現在、支配、召喚、連動、強化、守護、共生、昇格、継承、という八種の効果が確認されている。


★天魔族の単純な強さ比較:

 【天魔族】とは、受肉現界した神であるために、明確に現代人類とは一線を画す能力を持っている。

 現実世界人類より一回り強いのが魔界の人間である【魔人族】である。そして、その【魔人族の戦闘要員】を軽く倒せるのが【天魔族の非戦闘員】となる。

 更にその上に【配下天魔族の戦闘要員】があって、それより一回り強い能力と大抵の状況をひっくり返せるチートである【固有権能】まで持つのが【天魔七十二姫の戦闘要員】となる。この時点で、他のファンタジー世界の【魔王】と同等の強さを持つ。

 そこからさらに格上になるのが【天魔七姫将の戦闘要員】になる。ここまで来ると他のファンタジー世界の【ラスボス破壊神】あたりと同格になる。なお【天魔七十二姫の一人、プリメラ・ベール】は特別枠としてこの同格あるいは少し上辺りになる。

 本編第一話において【太陽系生命惑星管理者】と【オラージュ・ヴェルゼビュート】がほぼ対等な立場で会話していたのは、要するに地球の神と彼女がほぼ同格である事を示しているわけである。


★天魔族兵科・職種:

 現状、天魔族内に確認できる兵科及び職種。簡単な解説のみ記す。

『メイド兵』代表者:オラージュ・ヴェルゼビュート、等

 解説:あらゆる状況に対応可能な従者系天魔族。ただ専門分野では専門職に劣るため注意が必要である。


『魔剣士』代表者:ルーチェ・イブリース、プリメラ・ベール、等

 解説:代表的戦士系天魔族兵。魔剣を所持し攻撃的運用がなされる。


『重装槍士』代表者:ヴール・アミィ、等

 解説:代表的戦士系天魔族兵。盾を装備。主に守備的運用がなされるタンク役。


『拳法士』

 解説:特殊な戦士系天魔族兵。素手故に場所や状況を選ばず運用可能。


『戦術術師』

 解説:主に後衛からの術攻撃を担当する術師。


『補助術師』代表者:ケロナ・アグレアス、等

 解説:戦況を補助する術を主に扱う術師。


『術技師』

 解説:魔剣を始めとした魔力のこもったアイテム類を扱う技術者。万能だったり一芸に秀でたり。


『戦列弓兵』代表者:リェレン・レライエ、等

 解説:専門的弓兵。一般的遠距離攻撃要員。


『森林弓兵』

 解説:エルフ種天魔族兵。弓兵と補助術師を兼ねる。


『特務狙撃兵』

 解説:近代化長射程兵科。スナイパーライフルを扱うヒットマン。


『騎馬騎兵』代表者:クーニュ・エリゴス、等

 解説:騎馬に乗って戦う騎士系天魔族兵。機動力が高い。


『戦獣騎兵』

 解説:戦獣に乗って戦う騎士系天魔族兵。機動力はないが戦獣の戦闘能力が高い。


『盗賊』代表者:ナハシュ・オティウス、ヘレス・ラウム、キコーニア・シャックス、等

 解説:諜報隠密活動を行う天魔族兵。


『水魔兵』

 解説:水棲種天魔族兵。戦士と術師を兼ねる。


『有翼兵』

 解説:有翼種天魔族兵。戦士と術師を兼ねる。


『商人』

 解説:限定的特殊職能。拳法士と術師を兼ねる。


『研究者』

 解説:限定的特殊職能。操作系補助術師。


『書士』

 解説:限定的特殊職能。知識系補助術師。


『ナース兵』

 解説:限定的特殊職能。治癒系補助術師。


『ハンマー兵』

 解説:限定的特殊職能。専門的作業や重労働を得意とする。大金槌を武器とする戦士でもある。


『その他』

 解説:以上のいずれにも分類できない天魔族。 



●魔人族:

 魔界=テラ・ラレースの人間。実は作者の別作品「隠遁勇者の魔界再生~英雄譚のその先で……~」の人間及び魔族を祖先とする種族。

 強魔力域拡大の影響で、純粋な人間はかなり前の時代で消滅している。構成種族は、かの隠遁勇者の魔族各種とほぼ同じ者、さらに複合したり一部能力が消えてしまった者、などがいる。

 ただし、この時代には星神は存在しておらず【星神加護クラス】も機能していない。当然、クラスレベルもスキルも存在せず、そういった加護のない普通の人類種としての文明を築いている。

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