第28話 貸し切り
「それじゃ、首を確認してください……」
そう言うと衛兵が三人の首を僕の元に持ってきた。
さっき迄生きていたのに……
ただ、絡んで来た相手の首が此処にある。
治療を受けていた意味もない。
僕が勇者パーティじゃ無ければ僕は牢獄行きになっていた。
手慣れたやり方、絶対に善人じゃなく悪人。
だけど、それでも僕は違う結末が良かった。
「確認しました! ご苦労様」
衛兵を労うと、衛兵は僕に挨拶をし去っていった。
今回の出来事で、施設にいたお客の殆どは帰っていった。
こんな大事になり、更に首を持った衛兵が再度入ってくれば、まぁ怖いよな。
恐らく、この施設のすぐ外で処刑されたのだろうから、案外それをも見た者も居るかも知れない。
それもあるけど……
「グルダ様、滞在期間は貸し切りにします! だから……お願いでございますから……お許し下さい! それでどうか……どうか……」
今にも泣きそうな顔でこの施設の支配人が頭を下げている。
此処はそれなりに高級な施設だ。
その従業員が怯えて争いごとを止めなかった。
その後、衛兵が来た時にしっかりと証言しなかった事を気にしているようだった。
「別に気にしないで良いから」
僕がそう言うと安心したかのように、支配人は何回もお辞儀をして立ち去った。
◆◆◆
「と言う事で貸し切りになりました」
「グルダ様、凄いですわね! 貸し切りって事なら全部が混浴と言う事ですわ!」
「うわぁーあの大きな露天風呂で混浴、グルダお兄さん行こう、行こう!」
「それは凄く楽しみですね」
「そうだね、行こうか?」
四人で一番大きな露天風呂へと向かっていった。
◆◆◆
「へぇ~女風呂の方が大きかったんだ」
男性側の露天風呂も大きかったが、女性側の露天風呂の方が大きかった。
岩に囲まれた大きな湯舟に周りの自然。
湯舟は池の様に大きく、余裕で泳げそうな位大きい。
掛け湯をして、そのまま湯舟に浸かった。
タオルや手拭いは湯舟に入れないのがマナーだから、横にいる三人は勿論裸だ。
大中小の大きさの二つの塊が凄く……セクシーだ。
四人で座って湯舟に浸かり温まっている。
「ふぅ~気持ち良いですわぁ~」
「お風呂が大きいだけで、凄く気持ちいいね」
「私は温泉は今回が初めてだけど、こんなに気持ち良いなら毎日入ってもいいわ」
三人とも白い肌がほんのりと赤くなり、それが何とも言えない位色っぽい。
「グルダお兄さん、誰も居ないんだから泳いでも良いよね?」
本来はマナー違反だけど、貸し切りだから良いか。
「僕たちしか居ないんだから良いんじゃない」
「うん、それじゃエム、泳いじゃおうっと」
そう言うとエムちゃんが泳ぎだした。
手足はスラっとしていて、スリム体型だけど凄くスタイルが良い。
思わず、見惚れて見ていると……
「グルダ様、少し行儀悪いですが、誰も居ないなら泳ぎませんか?」
「私も旦那様が泳ぐなら泳いじゃおうかな?」
「それじゃ、少しだけ泳いじゃおうか? だけど、本格的に泳ぐなら温水プールがあるみたいだから、そっちに行かない?」
「それなら、少し遊んだらそっちに行くのも良いですわね」
「そうですね」
勿論、プールは水着着用だ。
露天風呂で裸で泳ぐと言うのに何とも言えない背徳感がある。
俺はと言うと……三人が裸で泳ぐ姿に見惚れ、泳ぐ処じゃ無かった。
特に下半身が……
しばらく見ているエムちゃんがこっちに来た。
「グルダお兄さん泳がないんですか? あっ、それじゃ泳げないね、うんうん仕方ないな、それじゃエムが……」
「エムちゃんぬけがけは良くありませんわ」
「楽しむなら四人で楽しみましょう」
「え~と……此処で? 部屋に行った方が良いんじゃない」
「偶には環境を変えて見ても楽しそうですわね」
「ここ、半分お外だもんね」
「それに温泉のおかげで暖かいし……ねぇ旦那様」
この誘惑に勝てるわけが無く、露天風呂を出るのに3時間も掛かった。
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