第13話 エムSIDE: 洗脳完了

「勇者のお兄さん、ただいまぁ~! あぁ、美味しかった!」


スペシャルパフェ凄く美味しかったなぁ。


また予約していこうかな?


「お帰り、別動隊のリーダーと顔合わせをしようと思うんだ。いつが良い!」


別動隊なんだよね?


勇者のお兄さんと一緒じゃない方がエムも、なにかと便利で良いなぁ。


エムは基本暇だから何時でも良いんだけど……


「う~んとね、エムは暇だから何時でも良いよ!」


「それじゃ、そうだな、2時間後に街の外れにある、廃墟になった教会でどうかな?」


急な話だよね。


だけど、なんで修練場を使わないんだろう。


「なんで、そんな場所を選ぶの?」


「君の実力を手合わせで見て見たい。君も勇者パーティに入るのだから、手の内は周りに見せない方が良い! だからこそ、周りに見られない場所を選ぶ必要がある」


そうかぁ。


エムも自分の手を明かしたくない……同じ考えだね。


「あっ、そういう事なら仕方ないなぁ~ エムは良いよ! それじゃ2時間後ね……分かったよ」


リーダーに嫌わらないようにとびっきりの笑顔で答えてあげた。


◆◆◆


「勇者のお兄さん、お待たせぇ~」


緑色の長い髪を黄色のリボンで縛って、お洒落に白いブラウスに赤いミニスカート。


うんうん、男なら堪らないよね。


「ああっ、それで、話した通り、少し手合わせがしたいんだ! 手加減はしてあげるし、怪我したらしっかり手当をするから、少しやり合わないか?」


「そう、エムは勇者のお兄さんとやり合えば良いんだね?」


「そう、それじゃ、何処からでも……」


手加減位はした方が良いよね?


これから、リーダーになる人なんだから……


スカートのポケットに手を突っ込んで……小ぶりな斧を取り出して右手で斬りかかる。


エムの得意な攻撃……本当は此処に『瞬速』を使うけど……今回は手合わせだから、使わないで良いよね。


勇者のお兄さんは剣を抜き斧を受けた。


うんうん、勇者のお兄さんも手加減してくれているみたい。


重い攻撃ができる。


それだけ分かれば充分な筈だよね。


「流石、勇者のお兄さん……でもエムの攻撃はこんな甘いもんじゃないんだよ?」


斧をしまって、今度はミニスカートを少し捲ってみたの。


白いパンツが丸見えになるのは計算なんだよ。


男って馬鹿だから、こんな布切れなにが良いのか分からないけど……動きが止まるんだよね。


此処からハサミで、いつもなら目か喉をつくんだよね。


結構、あっさりいっちゃうんだ。


だけど、今日は胸……勇者だから大丈夫だと思うけど……万が一があると困るもん。


うんうん、凄いね。


軽くあしらわれちゃった。


「手加減してくれているのか?」


まぁバレるよね。


ちょっとだけ遊んじゃおうかな?


酸使いの技……


「うん!? これは手合わせだから当たり前だよ? エムは悪い子だけど、仲間は傷つけないんだよ?  そーれっ」


だけど、これは手合わせだから、酸じゃなくて水なんだよ。


「これは……」


「エムは『酸』も使えるんだよ? それが水じゃ無かったら火傷したよね? あははははっふふっ、はいエムの勝ち!」


うん、これが酸ならエムの勝ちだよね。


「凄いよエム! 可愛いし強いし、凄いね!」


「うん!? エム凄いでしょう!」


褒められるの嬉しいな......


「ソニックブレード」


なに……これ……手合わせじゃないの?


此奴……騙したのか……


「えっ! お前ぇぇぇぇーーエムを騙したなぁぁぁー殺す!」


お腹が斬られて、手を離すと内臓が飛び出る……明らかに致命傷だよ。


「騙して無いから、安心して良いよ!」


どっち……信頼していいのか......


「ハァハァ……騙して……ない?」


「これは捕虜の捕縛の仕方だ! 此処から拘束させて貰う……その後は治療するから安心していい」


勇者のお兄さんは素早くエムを縛り上げ、目隠しをし、猿轡をした。


此処まで来たら、もう信じるしかない。


だけど……嘘……精神経の魔法かスキルを使ってきた。


騙した! こいつエムが欲しかったんだ……幼女好きの変態だったのかな。


だけど、ポーションでお腹の治療をしてくれたから......殺す気はないみたいだし。


きっと可愛いエムが欲しいんだね。


馬鹿なお兄さん……エムは精神系のスキルや魔法に耐性があるんだよ。


エムが好きなのか分からないけど……それ、効かないんだよ……ね。


◆◆◆


「ふーーふーんうぐいっ」


勇者のお兄さんはエムを担いで歩いている。


うんうん、スキルも魔法も効いて無いよ。


残念だったね……エムの中には沢山の記憶『心』があるの。


エムの心を縛りたいなら……その心全部を縛らないと無理なんだよ。


だから効かないんだよね。


目隠しを外され、目の前には豚の様に醜い男がいた。


まさか、エムに服従をつかってオモチャにする気?


ご丁寧に猿轡と拘束に使っていたロープも解いてくれた......


馬鹿じゃないかな?


その豚男への服従なら……エムの心を縛る前、他の心を縛っていくうちに殺しちゃえばいいんだよ。


「勇者のお兄ちゃん……私を騙したね……さぁ、その豚さん殺さなきゃね、きゃははははははっ」


「マサト様?」


この豚馬鹿なの? 殺されそうになっているのに目を瞑るかなぁ?


「良いから、お前はまだ目を瞑っていろ!」


「はい」


服従が効かないと思ったから……私を投げ飛ばした......酷いなぁ。


ムカつくから右足にナイフを刺したよ。


受け身はとったけど背中が凄く痛い……本当に酷いよ。


「エム……お前……」


「うふふっ、あはははっエムには精神異常系の魔法は通用しないんだよ? 『隷属』『従属』どちらのスキルか魔法を使ったのか知れないけど……エムは沢山の心を持っているから……ハァハァ、そんなの無駄なんだよ?」


うんうん、そんな服従なんて効かないんだよ。


「そうか……」


嘘……目の色が変わった。


服従、隷属が出来ないからってエムを殺すの…….


「エムを! エムを騙したなぁぁぁぁぁーー! 残酷に殺してやるぅぅぅぅーー!」


勇者になんて多分勝てない……だけどムカつくよ。


出来なくても……殺して……


「殺すと言った以上、俺もお前を……」


うん?! 体がおかしいよ……急に熱が上がったの。


「はぁはぁ……体がおかしいよ! 体が熱いの……エムに何をしたの? ハァハァ……」


体が熱くなっていって背中からお尻から股まで快感が走ってくる。


まるで大勢の男に触られたみたいに……


「俺は何もしてないぞ!」


絶対に嘘……私の中の雌が誰かに抱かれたがっている。


他の心は……沈黙。


エムの心の中になにかが入り込んで来る。


「だけど、だけど、さぁお股がムズムズするのぉ……おかしいの……」


股間から液体が垂れてきちゃったよ。


おかしいよ……そんな訳ない。


「それは恋をしたんじゃないか?」


私が恋なんてするわけが無いよ……だって


◆◆◆


エムは、スラムの貧民街で生きてきたの……


あそこはこの世の地獄だった。


エムが男だったらきっと餓死して死んでいた。


だけど、女だから『売る物があった』


そう、物心ついた時には大人のお姉さんと一緒に街頭に立って体を売っていたの……


だけど、場所が貧民街だから酷い物だったよ……


ちゃんとした娼婦じゃないから銅貨5枚(約5千円)それなのに値切られたり、払ってくれなかったり…….


文句を言ったら殴られた事もあったの……酷いよね。


そんな悲惨な売春婦をエムが続けていくなかで……凄い物を見ちゃったんだ……


娼婦のお姉さんがSEX中にお客の腹を刺した所……


お姉さんに殺される……そう思ったんだけど……


『こういう商売もあるんだ。覚えておきな』


それだけ言うとそのまま立ち去っていっちゃった。


そうか……体売るより殺しちゃった方が儲かるんだ。


真似してみたらあっさり上手くいっちゃった。


SEXの時って凄く無防備……最中や、終わった瞬間にお腹をナイフでグサリッ……凄く簡単だった。


それからは、場所を転々としながらエムに優しいお客さんにはそのまま、お金を踏み倒そうとしたら殺す……そんな生活を送っていたの。


だけど……こんな生活長くは続かないよね。


どうしようか考えていたある日……お客さんが『強奪の宝石』を自慢してきたの……


良いお客さんだったらどうしよう……そう思っていたんだけど……エムに酷い事するクズだった。


殴りつけて踏み倒そうとしたんだもん。


だったら……殺していいよね?


エムから泣きながらもう一回ねだって……最中にお腹を刺して殺しちゃったの。


そして、手に入れたその宝石を飲み込んだら……酷い物だったのよ。


これ、スキルじゃなくて『心』と『記憶』を手にする物だったの。


そこからは殺すたびに『心』と『記憶』が勝手に取り込まれていくの…….


『エム、お前なんて碌な死に方しねーー』


『地獄で待っているぞーーエム』


そんな私に殺された奴の殺される時の記憶が私の中にあり、絶えず叫んでいる……そんな状態。


殺せば殺す程、この記憶や心が増えていくの。


この負け犬の遠吠えを聞き続ける代わりに沢山の殺しの経験が手に入っていく。


最初は弱い奴から始め、徐々に強い奴を殺していき今は一流でも殺せるようになった。


その代り、今では頭の中で数百の私が殺した奴の記憶がうごめていて眠ると悲惨な光景が見えてきて、恨み言を嫌でも聞いてしまうの。


『相手にしない』


エムは強い……殺されるような弱い存在だからイケナイんだよ……


そう思って無視を決め込んでいるけどさぁ......結構煩いんだよね。


そんな殺伐とした生き方をしてきたよ。


きっと、私は愛なんて知らないし分からない……と思う。


だって、エムには男は薄汚い物……そして自分も薄汚い存在だって知っているよ。


心もおかしいのもエム全部解っているもの……


◆◆◆


「恋……あっ、豚兄さん……そうかも、豚兄さん凄く可愛いい……はぁはぁ……」


おかしい……目の前の豚男が……何故か愛おしく感じる。


薄汚い豚なのに……なんで?! 可愛らしく見えるの……よ。


「あいつが、お前のパーティのリーダーだ。名前はグルダだ」


「グルダ、お兄さん……素敵な名前だね! はぁはぁ......あっあん」


体がおかしい……エムの本能が、このお兄さんの事が欲しくて仕方が無い。


子宮が……欲しがっている……


こんな奴好みじゃ……うん凄く好み……豚さんみたいで可愛いな。


「それじゃ行くぞ!」


「うん……」


私は……うんうん、豚さん。


豚お兄さん大好き……抱かれたい位好き。


◆◆◆


「グルダ……もう目をあけても大丈夫だ! こいつがお前の新しい仲間、斥候役の……エルだ」


「その子がですか?」


「はぁはぁ、豚兄さん! グルダお兄さん……好き……エム......はぁはぁ好き」


「マサト様、え~と」


「どうやら好かれたようだな!」


「豚兄さん……グルダお兄さん……好き、しゅき、すき……大好き……エムが良い事してあげる......気持ち良くしてあげるね」


もう我慢が出来なかったよ。


すぐに豚兄さんの物が欲しくなって、急いでスカートを下ろし、ブラウスを脱いだ。


シミーズも着ていたけど、ストっとそれを下ろして、パンツと靴下、靴だけになったわ。


クスクスっ顔を赤くして豚お兄さん、可愛い……


「え~と、これって……」


驚いていて真っ赤な顔をして、凄く可愛いんだ。


「グルダ、モテ期が来たみたいで良かったじゃないか?」


私は走って行き、を押し倒すと鋭い眼光で睨みつけた。


「じっとしてて!」


「はい」


怯えた顔も可愛いんだから、私は、最後の1枚、パンツを脱ぎ捨てると、豚兄さんの服をやズボンを引き千切るように脱がしていった。


体が火照ってもう我慢できないんだもん……仕方ないよね。


「はぁはぁ……エム、もう我慢できない」


体に火がついた様に熱いんだもん……貪るように犯すのは仕方ないよね。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る