第2話 魅了
さてと、グルダのパーティメンバーだが、もう一人は決めている。
かなり前からロックオンしていた。
『元貴族令嬢の冒険者 メリッサ』だ。
日本から転移してきた俺から見たら、目が吊り上がっていて気が強そうな女。
茶髪のロン毛で『ですわ』言葉。
元貴族で何かやらかして追放され冒険者をしている。
悪役令嬢っぽくて俺は好みじゃねーが、なかなかの美人だ。
グルダにとっては恐らく好みの女、いや憧れの女だった。
このクソ女……ただ、顔を赤らめて見ているグルダに絡んできやがった。
ブサイクな男がただ、眺めている事位許容してやれよ!
そう言いたいぜ!
ただ、離れた所から見ていたグルダに……
『豚がなんで私を見てますの? 汚らわしいですわ』
『別に……』
『いいえ、厭らしい目で見ていましたわ! そんな気持ち悪い目で見られて不愉快ですわ! 本当に気持ち悪いですわ……私の前から消えてくれませんか?』
そんな事を言いやがった。
『僕はただ、食事を……』
『豚が食事……それなら……』
そう言ってグルダの飯を手で払いのけやがった。
勿論、飯はそのままテーブルから落ちていく。
『おっほほほっ、これでエサは無くなりましたわ! とっとと出ていってくれませんか? なんですか? その反抗的な目は! 本当に腹が立ちますわね……エールでも飲みますか?』
そう言ってグルダの頭からエールをぶっかけやがった。
本当に意地の悪い女だ。
ただ、見ていただけで、これはねーだろう。
俺はそう思って見ていた。
グルダは悲しそうにその場から黙って去っていった。
グルダは……異世界に来る前の俺みたいだ。
いや、引き篭もった俺と違い……こんなクソみたいな環境でも頑張っている。
だから……俺の心に何故か引っかかりやがる。
◆◆◆
誰からも容姿で嫌われるグルダを俺は、荷物持ちとしてパーティに入れた。
此処に入れてレベリングしてやりたかった。
彼奴は、俺の仲間の女からも蔑まれていたが……才能がないなか、少しずつ力をつけていった。
イザベルたちの嫌がらせを受けながら、俺がイチャつくのを見ながら、文句言わずに厳しい日常を頑張っていた…….
『お前はスゲーよ』
俺は結構なクズだ。
勇者の肩書。
異世人の肩書でやりたい放題している。
そんなクズにお前は何故か感謝していやがる……
俺はお前を見ると……まぁ、良い......
◆◆◆
グルダが俺のパーティに入ってから1年。
俺にあるスキルが手に入った。
『魅了だ』
これが手に入った時に俺は小躍りした。
だが、このスキルは使いどころが実はない。
勇者はモテるから、まず必要ない。
イザベル、マリル、メルルは俺の事を溺愛している。
勇者パーティだから妊娠は不味いから最後の一線は越えられないが、それ以外の事はまぁ、想像のとおりだ。
貴族階級や王族でも魔王討伐後なら幾らでも『婚姻相手』に選べる。
それに王族や、貴族階級には、このスキルは知られていて対応策は取られているから玩具にする事は出来ない。
実際の所……このスキルで玩具に出来るのは平民階級。
だが、使ってしまったら最後『本気で愛される』からストーカになりつき纏われる。
そんなリスクを犯す位なら、こんなスキルを使わず娼婦でも買えば良い。
だったら、なんで小躍りしたって?
グルダに『女をやれる』からだ。
◆◆◆
「ふーーふーんうぐいっ」
「よう、メリッサ言いざまだな!」
勇者とは凄く便利だ……魔族の討伐で話がしたいと話を持ち掛けたらあっさりと誘いに乗りやがった。
メリッサは貴族階級に戻りたがっていたから『手柄が欲しくて仕方が無い』
だから、この話にすぐに飛びついた。
そして、のこのこ俺の誘いに乗り、待ち合わせ場所の、この廃墟になった教会に来たわけだ。
そして、教会に来たメリッサを後頭部から殴り気絶させ縛りあげた。
それから暫くして気がついた……それが今だ。
「ふーふんぐうぐっ」
猿轡して縛り上げているから芋虫みたいに動けない。
恨みがましい目で見ていやがる…….
「言っておくが、俺の話に嘘はない! お前を別動隊だが、勇者パーティ希望の灯に入れてやるし、魔族の討伐にも加えてやる。俺は嘘は言ってない」
「ふんぐっ……」
今度は驚きの目か……忙しいこって。
「ただし、悪いがこれから先、お前はグルタの物だ! グルタの女にさせて貰う……『魅了』」
「うんぐっ、ハァハァ」
俺は目隠しをしメリッサに魅了をかけた。
「もう、お前は終わりだ……次にお前が見た男をお前は愛するようになる。それがどんなに嫌いな相手だろうとな……」
魅了ってそんなスキルだ。
掛かってしまったが最後、どれ程好きな男が居てももう終わり。
例え、恋人や夫が居ても無駄だ。
◆◆◆
「マサト様、こんな所でなんの用ですか?」
俺は、グルタを時間差で呼び出している。
「おう、グルダか? お前の1人目のパーティメンバーが決まったぞ」
「僕のですか?」
「ああっ、悪いがそこで目を瞑って立っていてくれっ! 俺がいいって言うまで目をあけるなよ」
「わかりました……こうですか?」
「ああっ……」
椅子の後ろに転がっている気絶していたメリッサを立たせ、喝を入れる。
「うんぐっうんぐっふぅふぅ」
今の状況が分かるから、暴れようとするが、勇者の俺に力で勝てるわけが無い。
目隠しを外し、目を瞑ろうとするメリッサの目を無理やり指でこじ開けグルタを見せた。
もう良いだろう……そのまま猿轡を外し、縛っていたロープも切った。
「あっああああっ、あああぁぁぁぁぁーーー」
「マサト様――っ」
「まだ、目をあけるなよ……」
「うっ、うわっうっうっいやぁぁぁぁぁーー」
頭の中で葛藤しているのだろう。
此奴は面食いだからな。
だが、もう無駄だ……どんなに抵抗してもグルタしか愛せない女になる。
「ぐふっぐはつ、あああっあああぁぁぁぁーーーハァハァ、嫌、嫌ですわぁぁーーそんな……グルタ……いやぁぁ……グルダ様、いや、いやぁぁぁですわ……ああっあああーーっ」
「無駄だ……早く楽になれ……」
「マサト様?」
「お前、絶対に目をあけるなよ」
「はい」
グルダは俺の命令は絶対に聞く。
「いや、いやぁぁぁぁーーー助けて……助けてケディン……うぐっひくっいやぁぁぁ、私の心……心が…….ああっいやぁぁぁぁーー」
恋人の名か……だが無駄だ。
「はぁはぁ……グルダ……グルダ様?……あはははっ、うふふふっグルダ様……ああっあああーーっ」
どうやら心の書き換えが終わったようだ。
「はぁはぁ、グルダ様……グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様……グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様ぁぁ」
自らグルダを抱きしめにいきやがった。
目を瞑ったグルダをそのまま押し倒し馬乗りで跨っている。
「痛いっ……一体なにが起きて」
頭を打ったようだが、多分大丈夫だろう。
「グルダ、もう目をあけて良いぞ」
「グルダ様ぁぁぁ、私、もう我慢できませんわぁぁぁーー」
「えっ!? ええっっっーー!」
「グルダ、そいつがお前の最初のパーティメンバーで、お前の女だ」
「えっ、マサト様どう言う事、うんぐっぷはぁつ」
「うんぐっぷはぁ……ああっグルダ様ぁ~」
スゲーないきなりキスをして服を脱ぎ捨てて、上半身裸になってグルタに下半身をおしつけていやがんの。
魅了……すげーな。
まぁ、見ていても仕方ねー。
「グルダ……お幸せに」
それだけ言うと俺は教会を後にした。
後ろから
「グルダ様……グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様……グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様グルダ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー」
狂ったようなメリッサの声が聞こえてきたが……惚れていた女だし、問題はないよな。
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