島で唯一の小中学校の日常

小阪ノリタカ

入学式と在校生代表の挨拶

大海原の上に浮かぶ小さな島・白波島しらなみじま。その島の中にある唯一の学校・白波村立しらなみそんりつ白波小中学校しらなみしょうちゅうがっこう


大海原の上に浮かんでいる小さな島なので、人口も数百人ほどで、白波小中学校の全校生徒も十人ほどで少ない、いわゆる「田舎の学校」といった感じである。


そんな白波小中学校に新入生(小学1年生)が入学してきた。

その子の名前は「みなとひなた」


入学式で校長先生がひなたの名前を呼ぶと、ひなたは大きな声で「はいっ!」と返事をして、背筋を伸ばして手を挙げる。


続けて、在校生代表からのあいさつが行われる。壇上に上がったのは、中学3年の青島あおしま海斗かいと

海斗は少し緊張した面持ちでマイクの前に立ち、新入生のひなたに対して

「この白波小中学校の生徒の数は少ないですが、みんなが仲良くて楽しい学校です。ひなたさんも安心して、僕たちと一緒に学んでいきましょう! 在校生代表・白波小中学校3年・青島海斗」


短い言葉ながらも、海斗は落ち着いた声で言い切ると、体育館の中の空気がグッと引き締まった。


その様子をひなたは、キラキラとした目で海斗を見上げている。


「……す、すごーい!かっこいい!」


ひなたの小さなつぶやきが、すぐ近くにいた子の耳に届き、クスクスと笑い声が広がった。


そして、最後に新しく着任する先生の紹介が行われる。


「今年度から、皆さんの担任を受け持つことになりました、大浜おおはまです。久しぶりにこの白波島に帰ってまいりました!実はですね、私……皆さんのお父さん・お母さんを教えていたことがあるんですよ!」


後方の保護者席からは「大浜先生、おかえりなさい!」だったり「大浜先生は相変わらず、お変わりないですね!」と温かい言葉が飛び交う。


保護者たちの反応に生徒たちは驚いた。

「……え、お母さんたち、大浜先生の教え子だったの!?マジで!?」

とびっくり。


大浜先生はニッコリと笑い「キミたちも、お父さん・お母さんたちのように、きっと成長していくよ!だから、先生を信じてね!」

とやさしく声をかけた。


入学式が終わり、みんなが学校の校庭へ出ると、ひなたは真っ先に在校生代表の挨拶をした、海斗の元へ駆け寄る。


「ねえねえ、さっきの挨拶、とってもかっこよかった!」


「……べ、別に……アレは普通の在校生代表の挨拶をしただけだよ……」


ひなたに褒められた海斗は恥ずかしさのあまり、そっぽを向く。

そんなふたりのやりとりを少し離れたところから大浜先生が、どこか懐かしそうに見守っていた。

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島で唯一の小中学校の日常 小阪ノリタカ @noritaka1103

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