【祝 100PV突破!】妖怪のおうちはこちらですか?

まな板の上のうさぎ

第1話 誕生日

「「小梅ちゃん、お誕生日おめでとう!」」


お母さんとお父さんの声が、明るく響く。今日は、私が五歳になる日。夕飯のあとには、楽しみにしていたケーキが待っている。


「いただきます!」


夕飯の献立は私のリクエストで決まった。夕飯を食べ終え、ケーキの準備ができるまで待つ。廊下を歩いていると、急に何かに躓いた。


「わぁっ!」


慌てて手を伸ばしたけど、右目のまぶたを軽くぶつけてしまった。


「いったぁーい!」


泣きそうになったところへお父さんが駆けつけてくれる。少しの間冷やし、痛みが落ち着いたころ、ケーキを食べた。ケーキの甘さで、痛みなんて消し飛んでしまった。


その夜のこと。食べ終わって、廊下を歩いていると、暗がりの中に何かが見えた。廊下の隅で、ふたつの小さな影が動いている。

一人はすぐに隠れた。もう一人は私をじっと見つめた。相手の顔もはっきり見える。優しそうな顔の男の子だった。


「……見えてる?」


私はにっこり笑って言った。


「うん!かわいいよ」


その瞬間、何かが変わったような気がした。

でも、何が変わったのかは私にはわからなかった。

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