異形の神に魅入られた。その絶望と隣り合わせに、少女たちは惹かれ合う
- ★★★ Excellent!!!
ひりひりとするような絶望感と不安感。それに苛まれる中で描き出される恋愛模様に、とても心を揺さぶられました。
高校生になった野橋いのりは、同じ学校の寮で暮らす筒井蜂蜜に強く心を惹かれることになる。なぜか、「特定の時間は彼女と同室にいてはいけない」とか、「彼女と同室になった生徒は不幸な目に遭う」などの噂が付きまとっている。
なぜか血液の色も赤ではなく蜂蜜色。そんな常人とは違った特徴を持つ蜂蜜のことを知れば知るほど、いのりはよりいっそう彼女と近づきたいという想いが強くなる。
いのりにも、幼い頃から「普通でないもの」が常に付きまとっていた。「神様」というものを目にすることが出来、同時に神様もいのりの存在に注目してくる。
「すりおろしたい」と物騒なことを口にする神様。それに呼応して「すりおろしましょう」などと迎合する謎の声。
異形の神様は一体ではなく、世の中には何体も存在する。でも、いのり以外の人間にはその姿を見ることはできない。
でも、決して幻覚などではなかった。
いのりが見ている「神様」は、たしかに他の人間に危害を加え、命を奪われるような事態も引き起こしている。
そんな神様の存在にずっと苛まれ、「普通」とは距離を置かざるを得なかったいのり。そんな彼女が蜂蜜と出会ったことで、強く心を揺さぶられることに。
いのりも蜂蜜も、同じく「神様」によって人生を歪められている。そうやって同じように「欠落」を抱えて生きていた二人は、狂気と絶望と隣り合わせの日常の中で強く惹かれ合うようになっていく。
本作は「神様」の不気味な姿や言動など、不穏に満ちた世界観がなんと言っても魅力的です。そんな常識の通じない力に支配される中で、いのりと蜂蜜の二人が必死に「幸せ」を求めようとする姿。そんな儚くも力強い姿が何よりも印象的でした。
果たして、二人の未来はどうなってしまうのか。
ラスト、二人が選択する答え。「タイトル」として提示されている言葉。そして、途中で「神様」が語っていた「とある特性」についての話。それまでの伏線が一気に回収される展開に鳥肌が立ちました。