葉っぱのない木に 一緒に水を注ぐということ

 小学校の教室という狭い空間の中で、他の子よりできないこと、遅れてしまうことは、どんな事情が背景にあろうとも、子どもの心を抉る出来事になってしまう。
 そのことに、私は鈍感になっていました。
 
 この作品では、そんな傷ついた少年の心に気づいた教師が、ゆっくりと水や肥料を注いでいくことを教えてくれます。

 ここで大切なことは、教師が一方的に注ぐのではなくて、少年に自分自身へ注ぐ方法を伝えて、一緒に注いでいった姿だと思いました。

 一方的に注ぐだけでは、少年が一人になった時に困ってしまいます。
 最初から少年に任せるだけでは、上手くできないかもしれません。

 一緒に注いでいったからこそ、少年はその後も自分に注ぎ続けることができた。

 そんなラストがとても温かくて優しくて、胸が熱くなりました。

 是非、多くの方に読んでいただきたい作品です。お勧めです!

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