帰国子女を扱った、心に深く染みいる珠玉の短編作品です。

 海外赴任している家族の少年が、三週間だけ日本の学校に入ります。受け入れる教師は気が重い。
 それでなくても、忙しい日々に、別業務だからです。

 帰国子女とは聞こえが良いのですが、母国語に関していえば、難しい問題が孕むことがあります。
 単純に二カ国語を話せたらなどと大人は思いますが、それほど単純な問題でもないのです。
 母国語とはその文化背景があって、言葉の問題だけではないことが多く。二カ国でちがった言語を学んだ結果、自分の軸足がどこにあるのかわからなくなる。そんなあやふやな精神状態になりがちです。

 とくに日本語は、英語、フランス語やドイツ語といった、語源がローマ時代という類似の言葉とはちがって、文法的にも、まったく異なる言語なので余計にそういった問題が起きやすく思います。

 それらを深く考えさせられる、優しくも心温まる物語です。

 とても美しい物語。
 どうぞお読みください。おすすめです。

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