自分は以前、介護士として働いていたことがある。

その時働いていた病院がまた八王子市で、トツナンで入院した病院とは違う。

仲が良かった介護士の彼女から聞いた話である。

ある日の午前中、入浴を予定している患者さんの着替えの準備のために、脱衣室で彼女とOさん二人で作業していた。

脱衣室は明るく。二人で話しながら病院着を仕分けしていると、

ガラガラっ

と後ろで浴室の扉を開けて、誰かが入ってゆく気配がした。

あれ。独歩患者さんがふらっとやって来たのかな？

二人はそう思ったそうだ。

だが風呂場を覗くと、誰もいない・・・

彼女とOさんは顔を見合わせた

「え、今確かに誰か扉開けて入ったよね？？」

当時自分も同じ病棟で働いていたが、病棟にはいつ亡くなってもおかしくない患者さんも多数入院していた。実際働いている間何人もの方を見送った。

その時も前日、入院していたAさんが亡くなったばかりだった。

だからか、友人Yは言った

「Aさんがお風呂入りに来たのかも。

　今まで寝たきりだったから、歩いてこっちのお風呂に来たんだよ、きっと。さぁ入れるぞー、って」

私はうなづいた。

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