異種族ストーカーにゲロぶっかけたら懐いたので育てる

青春爆発男子A

第1話:接触を試みる

俺の名前は恋井あむり、キラキラネームだと思ったか?俺もそう思う。

異形の怪物を調べる研究所、「オルタム」

で研究員をしているのだが、最近プライベートで"何か"に付きまとわれている。

なにか黒くてスライムのような…?なにかである。以下"クロ"と呼ぶことにする(我ながら安直な名前だな)

クロは、いつも俺が帰宅している時に必ず着いてくる。最初は怖かったのだが、危害は無く、ただ着いてくるだけだと分かってから、今はあまり怖くない。

でも見た目はおどろおどろしいので、若干警戒してしまう。

だが今日はそんなクロと、接触を試みようと思う。もしかしたら研究所で調べる価値があるかもしれない。もしかしなくてもあると思う。

まず、クロに近づいてみなければ。

帰り道に必ずクロは現れるが、それ以外は全くわからない…

定時まで仕事を進める。異形が街に出たニュースとか、新聞とかの情報を全て書類にまとめる。至ってシンプルな仕事だが、これがまた面倒くさい。本当に疲れるし、

ニュースを読んでいると、目に留まる項目があった。内容は、「異形に殺された小さな女の子」というショッキングなものだった。読み進めると、異形の特徴が載っており、

特徴は、「黒く、どろどろと液体のような姿」をしているという。それを読んで、俺は真っ先にクロのことを考えた。特徴が一致している。俺、もうすぐ死ぬのか…?と情けないことを考えた矢先、

異形飼育担当の笹谷淳也(さしや いつや)が

俺に話しかけた。

「恋井さん…お仕事中すいません、今日会社で飲み会があるんですけど、行きませんか…?」

「自分が後輩だからって、そんな縮こまらなくていい。飲み会か…ちょうど疲れてて、飲みたい気分だったんだ。行くよ」

「そうですか…!じゃあ、また好きな映画について話しませんか…?」

「もちろんいいぞ。お前の考察は奥が深いからな」

嬉しそうな顔をして淳也が頭を下げた。

そして楽しい足音を鳴らしながら去って行った。


そう。俺はこの時、疲れのせいでクロに接触することを忘れて、ガブガブ酒を飲んで…

帰路に着いた頃にはもうすっかり深夜だ。

暗い路地を歩いていると、いつものようにクロがついてきていた。そこで接触をとらなければと思った俺は、ふらつく足でクロに近寄った。

クロは、近寄られることを想定していなかったのか、焦ったように見える。

その直後、俺は急に気持ち悪くてなって…


吐瀉物をクロにぶっかけた。

それが昨日の深夜の話である。

思い出した俺は顔面蒼白。なぜなら俺はその後。

クロを持ち帰った。

クロが俺のベットの下で蠢いている

少し人のような形に似通っていた。

俺が吐瀉物をぶっかけたからか?

幸いクロは俺に懐いており、危害を加えるわけではなさそうだが、

とりあえず研究所の異形飼育担当のやつらの所に持っていくか…

身だしなみを整え、仕事に行く準備をする。

クロは髪を整えている俺のことを真似ているのか、頭を撫でている。その姿がなんとも可愛らしい。

クロを車に乗せ、研究所に急いだ。


異形飼育担当とやつらと淳也はクロを見て、

とても驚愕していた。そして当の本人のクロは、少しやつらに警戒しているようだった。

俺にだけに懐いているそれを見た異形飼育担当は、俺にクロの世話係を任せた。

とりあえずパンの耳を食わせてみる。

「…美味いかよ」

喋らないクロに話しかけてみる。

少し嬉しそうに頷いた。

俺はこれからしなければいけないことを考えていた。


仕事、それから…



…俺はこれからこいつを育てないといけないのか…?

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