重装甲巡洋艦雪花
HAC-112 雪花
第0話 これは、島流なのでは無いのか?
今自分は、色々と文句を言いたい。
まずは大本営、適正がどうのこうので、「今日から貴官は、軍属となる。」
などと意味不明な事を告げられ、軍属となった。この段階でもおかしいが、軍へ入隊早々「貴官には、重装甲巡洋艦艦長に命ずる。」と言われ、南方へと送られた。
南方の人手が不足しているのは、知らされていたが、些か急すぎると思う。
問題は、南方への移動方法だった。飛行機と言えば、二式大艇(二式大型飛行艇)や、一式陸攻(一式陸上攻撃機)など、一般人でも一度は聞いたことのある機体かと思っていた。しかし、手配されていたのは名前も聞いた事のない機体だった。
名前は確か、六式大艇(六式大型飛行艇)と言っていた。
見た目は、米帝のカタリナとやらに似た四発機だ。
問題は、コイツの発動機(エンジン)だった。
自分の知識で発動機と言えば、星型の空冷や水冷v型が一番早く思い浮かんだ。
しかしコイツに積まれている発動機は、水冷x串型発動機と言う物だった。
説明では、「信頼性は別として、二千馬力以上の出力が発揮可能」と言われたのだ。つまりは、信頼性に欠ける発動機と言う事だ。そして案の定発動機が、飛行中に停止した。操縦士が言うには、「停止しても発火しなかったのは、運が良い。」との事だ。「誰だよ!こんなポンコツを採用した奴は!」とつい口にしてしまったが、操縦士たちは何も言わず「ごもっとも」と言いたげに頷いていた。
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