磁力。
- ★★★ Excellent!!!
とても引き込まれまして……読後しばらく、考え込んでしまいましたな……。
この二人の距離感のことを思って、ぼんやりしてしまいました。
なかなか、複雑な過去を持つ二人組です。
主人公の方は離婚をし、息子の親権は奥さんにあるようです。
女性の方は女子高生。主人公の息子よりも年下の女の子。彼女もまた、父親がいません。
そんな二人がどうして出会ったのかというと、不登校の子たちが、有志の大人たちから相談を受けるというネット掲示板にございました。
しかし、セキュリティが寛容なのか、不登校生徒の友達でさえも入室できるそうだったのです。
そこで、ハンドルネームガイムさん、あかりちゃんは出会いました。
ガイムは、息子が見ていた仮面ライダーの主人公の名前だそうです。
神様が置く磁石というものは、どこか狂っているのか、
この中年男性と、女子高生を磁力が引き寄せていきます。
女子高生の家庭事情、考え方を聞くたびに、中年男性は、複雑な思いを抱くように。
それは、まあ、……好意もしくは、恋に近いものなのかも知れませんな。
望もうが望むまいが、急接近するこの二人。
しかし相手は、息子よりも年下の女性……。
地球と衛星の関係のように、近いところを付かず離れず、ぐるぐると回りながら日々を過ごすこの二人……。
そして、やがて主人公は、あかりへの気持ちがどういうものなのか、一つの答えを出します。
ひたすらビターで、切なく、そして、ほのかに甘い。
たった一万字で大満足の一冊にございました。
これ、お薦めいたします。
ぜひ、ご一読を。