第2話 お母さん
佳奈が「いらっしゃいませ」といつものようにお店の万華鏡で接客をしていた。
母親が「佳奈、こんな所で何をして居るの?」と佳奈に声を掛けた。
佳奈が「お母さん、どうして此処に居るの?」と母親の姿が見えて驚いていた。
母親が「何って?此処は、おばあちゃんのお店だったでしょう?もう、おばあちゃんは亡くなったんだからこのお店に居座らないで帰って来なさい」と佳奈は声を掛けられた。
佳奈が「でも、私はこのお店を初めて、このお店に来てくれる方が居るの?今更辞められないの」と母親に懇願こんがんした。
その時に辰馬が「このお店に来てから、僕の家族の者達に食事を配ってくれたり、凄く助かって居ます」と佳奈の母親を説得した。
母親が「しょうがないわね?引き継いで貰える人が見つかるまで働いて良い事にします」と佳奈に声を掛けた。
母親は、少し納得がいかないまま、そのお店を後にした。
佳奈が「辰馬さん。さっきは、ありがとう。何で助けてくれたの?」と辰馬に訊ねた。
辰馬は「だって、いつも近くにお店が無いし、あるとしたらこの万華鏡しかお店が無いから」と佳奈に伝えた。
佳奈が「ありがとう。今日は特別に助けてくれたから千六百五十円にまけますね」と辰馬に格安で商品を提供した。
辰馬は「よっしゃー」とガッツポーズをして、その場で喜んでいた。
そんなに家族が大切なのかと佳奈は、横目で辰馬を見つめた。
辰馬が「何?何か文句でもあるの?」と佳奈を見て質問をした。
佳奈が「そんなに家族が大切って珍しいからね?今時」と辰馬の事を見て感じて居た。
辰馬が「そうかな?やっぱり家族は家族だし、どんな時も切っては切れない関係が大切だからな」といつの間にかどんな人も大切にする心を持って居るんだなと言う考え方に尊敬の念にも似たような感覚を覚えた。
辰馬と別れた佳奈は、お店の店番を引き続き始めた。
おばあさんが来て「いつも、辰馬がお世話になっております。こんな近くでお店を切り盛りするなんて大変ですね」と佳奈に向かってお辞儀をした。
辰馬が「ばあちゃん、辞めろよ。あぁ、すみません。僕のばあちゃんが出しゃばって来て申し訳ありませんね」と佳奈に話をした。
佳奈は「良いんですよ。こちらもお店を続けるか悩んでいたので、お店を続けて良かったなと思っています」と辰馬のおばあさんに声を掛けた。
おばあさんが「あぁ、優しい人で良かったわ。私も辰馬の友達がどんな子なのか気になって居たのよ」と笑顔で返事に答えた。
辰馬が「もう、ばあちゃん帰るぞか」と話し掛けた。
おばあさんが「分かった。帰るよ。辰馬の事をこれからもよろしくね」と笑顔で去って行った。
他のお客さんのレジ打ちを打って、夜になった頃佳奈はノンアルコールを飲んでいた。
佳奈が「これ、美味しいな」と楽しそうに座って、お店の外にある椅子に座って居た。
佳奈は1人で居ると落ち着くなと感じて居た。
外に居ると川にスポットライトが当たってキラキラと輝いて居た。
風が微かに吹き荒んで、この暗い外でスポットライトで輝いている橋が綺麗に見えた。
綺麗な橋を白い袋を持って母親の実家である松山に帰って来た。
小さな街で鳥が海を渡り、カァカァと泣いて居る声が今にも私の心を奮い立たせ、心に響いて居た。
母親の家の前まで来ると「佳奈?久しぶり。あれから家に帰って来ないから心配したのよ」と久しぶりの佳奈に向かって涙を流し抱き締めた。
佳奈は「ゴメンね?お母さん。私もお母さんの顔が見たくて帰って来たの」と涙が目から少し流れて居た。
母親は「あら?後ろに立って居るのは誰?」と佳奈に話し掛けた。
辰馬が「こんにちは。そして初めまして。僕は、辰馬と言います。よろしくお願いします」と母親に向かってお辞儀をした。
母親が「あなた、いつぞやのお母さんと話して居た子ね?よろしくお願いします」と辰馬にお辞儀をした。
辰馬が「良かったです。こんな形で話が出来て安心しました」と母親に声を掛けた。
母親が「どうぞ家に入って下さい。もし良ければ夕飯なので一緒にどうですか?」と辰馬に話し掛けた。
辰馬が「お邪魔します。良いんですか?じゃ、お言葉に甘えて」と母親に話をした。
母親に「良いの?そんな事を言って」と佳奈が心配をして話し掛けた。
母親が「良いのよ?あの子がどう言う子か見るチャンスなんだから」と返事を返した。
佳奈が「そっか、でも、どうするつもりだろう」と母親の様子を見て居ると、辰馬に「このお菓子あげます。どうぞ、食べて下さい」とお菓子を勧めた。
辰馬は「あぁ、そんなお菓子まで良いですよ。悪いですから」と断ってしまった。
佳奈の母親から「礼儀がなって無いから、あの人とは付き合わない方が良い」と佳奈に告げた。
辰馬はそれを聞いて「僕達は終わりだな。さようなら」と佳奈に別れを告げた。
母親は厳しく物を言う人で、辰馬は苦手だなと思って居た。
辰馬は佳奈を見ては、見て見ぬふりをして居たのがわかって、佳奈は辛かった。
佳奈が「あの、あの時はごめんなさい。でも、良い友達で居ましょうね」と辰馬に話をした。
辰馬が「そうだね?僕もその方が良いと思う」と佳奈に声を掛けた。
そうして2人は和解をして、2人でまた再び切磋琢磨して仕事をして居ると言う手紙を佳奈は母親に送った。
母親が「うふふ、友達が多い事は良い事ね」と佳奈の手紙を見て笑った。
そんな佳奈も辰馬も、自分なりの幸せを探して居た。
でも、今生きて居る事が幸せで今笑えて居る事が幸せで、でも何処かで寂しさを拭えなかった。
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