蹴ればいいじゃない?勝てるから【赤色ノ人氏の作品】

【まず最初に】


 話の進行をする羽鐘司令の言葉は「」、スマホ少尉の言葉は『』で表示します。


 ――――――――――


 第十三回

 作戦名 :蹴ればいいじゃない?勝てるから

 支援作品:異世界仮面~無貌の英雄、『蹴聖』の名を背負う~

 作品著者:赤色ノ人


「フハハハハハハハハハ、貴様も蝋人形にしてやろうか!」

『なに馬鹿なこと言っているんですか?』

「貴様、いつからそこにいた?」

『司令がここに来てからずっと配備してますよ、自分で動けないし』

 戦隊ヒーロー番組を観て、すっかり悪役になりきりながら司令室に入ってきた司令を、スマホはゴミクズを見るような視線を投げたくなっていた。

 目がないから、スマホの悲願が達成されることはない。


「さて、今回の作品だ。作品の骨格には間違いなく仮面ライダーがあると思って間違いないだろう。主人公の真雲零はとある悪の組織により、改造人間手術を受けているのが、その証左と言えるだろう」

『作品のページを見ると、仮面〇イダーって言った人に怒っているような描写ありますよ? 司令が蹴られるのは大賛成ですが作品支援部隊の評判が下がるのは避けたいですよ』

「良く見ろ、ガラの悪い仮面〇イダーって書いているからセーフだよ」

『決めるのは作者ですから。とりあえず蹴られましょう、今蹴られましょう』

 スマホがしきりに『司令、タイキック』と告げるので、司令は屈強なキックボクサーが司令室に入ってこないか気が気ではなかったが、作戦支援部隊にはそんな演出をできる予算はなかった。


「まぁ、気を取り直そう。真雲くんだが、悪の組織に洗脳されて数々の悪事を働かされるわけだが、とあるきっかけで、操り人形から復讐者へと変貌する。詳しくはネタバレになってしまうので言いたくないが、かなり胸に迫る過去を持つぞ。そして、組織は真雲によって滅ぼされる。ここまでが大前提となる情報だ」

『私は機械ですが、真雲の過去は私の湿気センサーを刺激するものでした』

「真雲は組織を壊滅後も、怪人と戦い続ける。仮面の襲撃者マスクドレイダーとしてな。これがカッコいいんだ。強化外骨格を身に纏い、強烈な蹴りで敵怪人をぶっ飛ばす姿は痺れるぞ」

『ライ〇ーキックの使用を確認、著作権に抵触する可能性……』

「まてまてまてまて、そんなんじゃないから! ただの蹴りだから! ただの蹴りがめちゃくちゃ強いからカッコいいのよ」

 羽鐘は、スマホがどこかに通報しそうになっているのを慌てて止めた。


『ところで、異世界仮面というタイトルですが、どこに異世界要素があるのですか?』

「真雲が蜘蛛怪人と交戦しているときだった。とどめを刺した蜘蛛怪人が最後の抵抗として自爆するのだが、その爆発に巻き込まれたのがきっかけで、真雲は異世界に飛ばされるんだ。ついでに蜘蛛怪人も同じ異世界で転生する」

『どうしてその異世界に行くんでしょうね?』

「それはわからん。おそらく大いなる意思的な存在によるものだろう。さて、異世界といえばチートのようなスキルや魔法がやはり注目されるな。実際に、この異世界ではさまざまなチートのようなスキルが登場する。どれもえげつない。が、真雲はそんなものを何も獲得していないんだ」

『司令も育毛スキルを身に付けられれば……ごめんなさい』

 ただのボケであり、司令から『うるさいぞ』といったツッコミを期待していたスマホは、涙を目に一杯に溜めて肩を震わせる司令の姿を見て、素直に謝った。


「……説明続けるね。真雲は強敵に対して、強化外骨格で得られるフィジカルでのみ戦うことを強いられる。これはピンチだ。転移直後に訪れた場所で遭遇したモンスターは、異世界の冒険者を凶悪な力で蹂躙していて、真雲とも交戦することになる」

『そんな危険な状態、どうやって乗り越えるんですか?』

「蹴りだよ。名前もない、ただの蹴り」

『そんな……作者に抗議文章を送りつけつつ著作権侵害の通報を……』

「だから著作権は問題ないって。そして、心配しなくていい。蹴りで片が付くから。真雲、いや異世界仮面マスクドレイダーは蹴りがあればいいんだ。それで問題ない。真雲はフィジカルで異世界を戦っていくんだ。その姿がカッコいい」

『確かに司令は、読み始めてすぐにカッコいい! といってお気に入りになってましたね。文章も読みやすいですよね』

「読みやすい。が、それがあるから、残酷な描写は心に響くし、悲しい描写は涙が出そうになる。しかし、当の真雲は自分の境遇を受け入れ、飄々としているんだ。そこに惚れない男はいないぞ」

 羽鐘は、まるで戦隊ヒーローを見た少年のようなキラキラした目で、真雲の魅力を語った。

 スマホは、強烈な光を放って目を潰そうと考えたが、バッテリー容量を考慮してやめておいた。


『異世界には、真雲と転生した蜘蛛怪人のほか、何人か転移した人がいるようですね』

「そうだな、登場キャラクターは魅力的だ。設定は練られているし、魅力的に動くので好感が持てる。ただ、それより何よりも、真雲だ。彼の魅力はこの作品のもっとも注目すべきところだし、もっとも輝いているところなんだ。やはりヒーローはカッコよくなければならないが、この作品の主人公に対しては太鼓判を押せる!」

『惚れてますね。では、支援砲を準備します。ついでに司令の毛根にも支援砲を撃ちましょうか?』

「撃ってみれるもんなら撃ってみろよ! 撃ってくれよ……」


 カッコよさに恵まれない司令であるが、カッコいい男を素直に応援したくなり、応援ハートの一斉射撃を令した。

 無事に作品が支援されることを祈りながら。



 次回予告

 作戦名 :奇妙な世界に降り立つ兄弟。その世界の魅力に震えろ

 支援作品:如月書店

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