藤の一族
安倍邸に戻ってきた私達3人は、遅い時刻にも関わらず晴明さまの部屋へと招かれた。
帰宅早々式が飛んできたのもあるが、特記千佳さまが帰宅途中晴明さまにお伺いをたてていたらしい。
たまたま書物を読んでいたらしく、すぐさま案内された状態だ。
「して、何があった?」
台所からお茶を人数分お茶を入れてきた私は、お茶を配ると時親さまと章平さまの後ろに座った。
「都に住む雑鬼達が仲間が何人かやられた時親言い、飯場強引にとある寂れた邸に行ったのですが、ざっと視た感じ何もなく、気配も普通の廃屋だったのですが、姫さんがとある術を使われまして、その、
章平さまが先ほどの状況を説明する。
これは晴明さまにも一度確認をしていただいた方が良さそうだなと感じた私は、手のひらに収まるサイズの水色の石を取り出した。
「実際に見てもらった方が良いかと思います。」
皆の前に石を置くと素早く印を結ぶ。
ふっと息を吹き替えるようにすれば、淡い光を放った石は天井に先ほどの屋敷で見た記憶をそのまま映し出す。
この術は、私が朱桜と遊んでいる時に生まれたもので、偶然の産物というか本来なら違う術漆器になるはずだったのだ。
実家の書庫にある歴代当主さま達の術とかを参考に、朱桜と実験感覚で色々試した結果媒体にその場で起きたことの記憶、強い感情が動いたものが映し出され記憶される。
私以外の人間が使えるか分からないけれど、分家の視る力が強かった人間は使えた。
私が記憶した媒体を再生するからだけなら、私と同じ血が流れている人間なら誰でもできる。
ぼんやりと、再び流れ出した映像を見上げながら、先ほど気になった少年を視線で追う。
「・・・これは、確かに藤一族の姫君じゃな。藤一族の姫君が嫁いでいるとなると、皇族か、上位貴族の家か。それが寂れているとなると勢力争いで滅んだ家か・・・・。皐月さま、これらは私でも使用できますかな?」
「えと、この絵を流すことをでしょうか?それとも術辞退でしょうか?」
「ひとまずは、この絵を流す方ですな。」
「それは問題ないかと存じます。私の霊力、血で反応するようにできております。私の霊力1番初めは晴明さまですから、こちらの石を触れれば流すことはできます。」
「では、術を使うとなるのは?」
「そうですね。この術は私独自の術となります。霊力があれば使用できるかと存じますが、視ることができても使用できない者もいました。おそらく大丈夫ではないかと思います。」
実際にこの術を父様、兄様方、分家の兄様、姉様方に教えた。
血のつながった兄様方は使用でききた。
分家の兄様と姉様方は記憶ができなかったり、長時間の記録がダメだったりさまざまだった。
どこが境界線か分からないけれども、晴明さまと時親さま、章平さまは余裕だろうと思う。多分。
「術に関しましては、今度お時間があるときにでも説明させていただきます。それで、藤の一族というのは藤原一族でしょうか?」
先ほどから出ている【藤の一族】という条件から、この時代の勢力図を展開すればほぼ藤原一族の占領だった気がする。
私の疑問はそこで、まぁ分家の可能性もあるけれども、9割その一族で間違いなあいのかな?
3人の反応を見てもそうだろうなと私は思った。
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