3
夜、皆が眠りに付き静まり返ったあ頃二つの足音が塀の辺りで聞こえた。
朱桜に頼んで時チッかさまに時間をもらう約束をしたのはいいが、時親さまあがり帰宅する前に私が自室で熟睡をしてしまい、起きたのはつい先程。
狩衣に着替え、質を出たところで庭を歩く二つの気配に気がついた。
自国的にも夜廻にでる時間だ。
玄関から出ずに塀から出るのはなあぜだろうかと疑問を抱きつつ、音のする方へと向かった。
そこには軽々と塀を乗り越える2人の男性の姿があった。
〈朱桜、蒼月行くよ。〉
そばに控えている神将に声をかけ、2人が出ていった塀を同じ要領で飛び越えると着地地点に先ほどの2人の姿がいた。
「皐月さま。」
「時親さまこんばんは。そちらの方あはあ初めましてですね。安倍皐月と申します。お会いできて光栄です。」
にっこり微笑めば相手の頬が赤くなる。
「初めまして。噂は時親兄上からお聞きしております。安倍
「あぁ、はっきり視えているのね。朱雀も青龍も同行しますが、お気になさらず。」
「はぁ・・・。」
「皐月さまがお知りになりたいというのは?」
「それは、移動しながらゆっくりと。」
「そうですね。」
話がまとまると、3人揃って今日の町へと向かう事にした。
今日は左京を中心に見廻るらしい。
雑鬼たちが最近変な男がうろついているし、仲間が何人かやられたらしい。
それを、私に直接伝えにくる辺りどの時代も雑鬼は逞しいものね。
苦笑を浮かべつつ、雑鬼達が言う問題乗り越える屋敷を目座す。
雑鬼達には直ぐに性別がバレた。
もう少ししっかり男装すべきかと悩んでいたら、長兄そっくりらしいからそれ以上は必要ないと言われた。
きっと、違う部分で私の性別が違うことに気がついたのだろうと勝手に完結をした。
問題の屋敷にやって来たのはいいものの、雑鬼達が言うような男の姿は無かった。
しかし、その男によって火球の無害のあやかした阿知賀姿を消している現状は只事じゃない。
ぐるりと周囲の:気配を伺いつつも、とっくに問題がなさそうなのでまた日が登ったら視にくるからと章平さまが雑鬼と話していた。
根が優しいのだろうなと横目で視ながらも、気になるっか書と基本的な情報を手に入れる為、残っている思念に答えてもらうことにした。
〈朱桜手伝って。〉
私のすぐ傍に姿を現した朱桜は、ダァアン!と足を踏み鳴らす。
それに合わせて素早く印を結び、息をふきっかけるようにしてつぶやけば、屋敷が覚えている映像が映し出される。
特に変わった様子はない。
多くの女房達に、幸せそうな家族達。
何があったのだろうか・・・・。突如映像は切り替わり、主は項垂れ、女房達は泣き崩れていた。
左遷にあった一族の屋敷なのだろうか?
映像を視ながら、気がついたのは藤の簪を挿した女性の姿だった。
傍には幼い少年の姿があった。
ただし表情は見えない。
そっこまで古くはなさそうな映像に、私は記憶に引っかかるモノがある。
それがなんなのか分からず、考え込んでいた。
思考の世界から、現実に戻されたのは章平さまの声だった。
「スッゲー!!!何これ!何やったの?!姫さん!!」
「え?っこの屋敷の記憶の一部を見せてもらったの。特に収穫はなさそうなんだけれど、何か気がつきましたか?」
「いや、俺は分からないけど、時親兄上なら何か気がつい・・・・・兄上?」
「皐月さま、章平、今すぐ帰りますよ。お祖父様に報告せねば。詳細はお祖父様の部屋で。」
そういうと、私達の腕を掴み屋敷を後にして安倍邸を目指した。
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